2013年9月1日付の毎日新聞によると、8月末に千葉県山武市の中古船舶輸出入会社で、ドラムに巻き取った漁網の中から白骨化した遺体が見つかったという。
記事によると、
◇遺体は、北朝鮮に拉致された疑いがある「特定失踪者」とされていた新潟市の小山修司さん(失踪当時43歳)
◇小山さんは2004年6月6日未明、1人で出漁後、新潟市沖で行方不明になった
◇第9管区海上保安本部(新潟)が捜査し、航行記録がないなど不審な点があるとして、特定失踪者問題調査会が2005年12月に、特定失踪者として公表していた
◇千葉県警によると、8月29日に長さ約40メートルの漁網を直径約1.5メートルのドラムから外す作業中、芯近くから、網に絡まりつなぎや手袋を着用した状態の遺体が見つかった
◇共同通信によると、県警の調べなどでは、漁網は2005年ごろ、小山さんの船を解体した新潟市内の業者から輸出入会社が購入した
◇小山さんの家族らの話では、9管本部の幹部が8月31日に、母親方を訪れ、当時漁網を確認しなかったことを陳謝した
という。
つまり、小山さんは、北朝鮮に拉致された特定失踪者ではなく、おそらく、漁船(底引き網漁船)の操業中に、ドラムに巻き込まれた事故なのだろう。
小山さんが操業していた漁船は、海保によって発見され、港に曳航された。
捜査打ち切り後、漁船は遺族に返され、遺族は漁船を解体して、購入した千葉の中古船舶輸出入会社に8年ほど放置されており、ドラムの売り先が決まり、遺体となった小山さんが発見されたのである。
小山さんの不慮の事故はお気の毒としか言いようがないが、ポイントとなるのは、海保の操作で、なぜ、ドラムを確認しなかったのか?である。
海保は、この行方不明事件の捜査方針として、
◇海に転落した
◇北朝鮮に拉致された
という方向で決めつけていたのであろう。
したがって、「ドラムに巻き込まれた」という可能性は、全く、発想がなかったのでしょう。
海保には、漁船の海難事故のデータは膨大にあるに違いない。
それらの過去のデータから、おそらく「漁船操業中の事故」として、「ドラムに巻き込まれた」というケースも多々あるであろう。
遺族によると、海保は謝罪の席で、「やるだけのことはやったが発見できず申し訳ない」と謝罪したという。
しかし、「やるだけのこと」を全てやったとは、結果からすると到底思えない。
結果から捉えると、亡くなった小山さんは、行方不明になった直後に、実質的に、港に帰ってきていたのだ。
なぜ、ドラムに巻かれた網を海保は確認しなかったのだろう。
操作プロセスに改善の余地があるといえる。
ドラムに巻かれたまま、漁船が解体され、千葉の業者に転売され、そして、そのまま売れず、遺体が9年間も放置されていた小山さんと遺族が哀れでならない。
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