よく「成功したビジネス」などを語る時に「井戸を掘った人を忘れてはいけない」という表現を使う。
この言葉は、もともとは、1972年に日本と中国が国交正常化を図った時に、時の中国の首相であった周恩来さんが「我が国では水をのむ時には井戸を掘った人のことを忘れない」と日本政府に謝意を伝えた時の言葉とされている。
つまり、井戸を掘って水が普通に飲めるようになると、それが当たり前になってしまうが、井戸を掘った人は、
◇誰もやったことのないことにチャレンジする勇気
◇将来を見越した優れた先見性
◇計画を実施に移すまでの幾多の艱難辛苦を経験
があった訳で、要は、相当の苦労をしているのだ。
当たり前の時代に生きる人は、あたかも、昔からそうだったような錯覚に陥るが、偉大な先人のことを忘れずに感謝の心を持ち続けよう、というような意味であろう。
ただ、通常のビジネスで考える場合は、「井戸を掘った段階」だけでは、ビジネスが成功に導けない事も多い。
抽象的な話になるが、ビジネスの成功は、ざっくり言って「開発段階」⇒「試行段階」⇒「量産段階」というように改良を重ねて世の中で使えるようなものになることが多い。
また、「量産段階」に入ると、苦情やトラブルも発生するようになるし、設備が古く劣化してメンテナンスが必要になったり、サービスであれば、流行が変化してモデルチェンジが必要になったりする。
ちょっと具体的になるが、「特許技術」でいえば、「切り餅」の二大メーカーである「越後製菓」と「佐藤食品」は、越後製菓が「サイド面に切れ目を入れる特許」を最初に申請し、佐藤食品はそれに応用を加えた「上面と下面に切れ目を入れる(改良)特許」を申請した。
要は、越後製菓が生み出した「切り込みアイディア」の基本技術だけでは、まだまだ優れた製品としては不十分で、サトウの改良があったからこそ両社の切り餅は売れたのだ。
話は脱線するが、この「切り餅特許騒動」に関しては、そう考えると、お互いが維持を張り合うと、越後製菓は「サイド面の切り込み」でしか製造できず、改良した特許を取得したサトウは「切り込み技術自体が使えない」と言うことになる訳で、顧客や両社の利益を考えれば、双方が歩み寄って和解して『お互いの特許を双方で使えるよう協議』することが得策だったと思う。
話を元に戻すが、要は、ビジネスにおいては、
「井戸を掘った人を忘れてはいけない」
のはもちろんであるが、
「井戸を管理して、改善を加え、普及させた人も忘れてはいけない」
なのである。
しかし、とかく、ビジネスにおいては「井戸を掘った人」が必要以上に「エラぶる」傾向が強い。
「井戸を管理して改善し普及させた人」もいるから、そのビジネスは成り立つのだ。
別の例えでいえば、
『ブルドーザーは庭を耕すことはできてもブルドーザーでは草花は植えられない』
のだ。
これは、どちらがエライと言うものではない。
それぞれの役割があり、互いを尊重し、それを認め合うことが大事なのだ。
したがって、ビジネスにおいては、
『それぞれが、それぞれの価値創造力を認め合うこと』
が重要なのである。
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