カネボウ化粧品の自主回収問題が波紋を広げている。
この美白有効成分「ロドデノール」が配合されたカネボウの化粧品の自主回収問題(8ブランド・54品目)については、メディアや学識経験者が主に次のような問題点を指摘している。
◇カネボウが最初に被害相談を受けたのは2011年なのに、その時点では「化粧品との因果関係は認められない」と対応しなかった
◇結果として、初動に遅れがあったことは否めず、カネボウ化粧品の危機管理体制に問題がある
◇危機管理コンサルタントの田中辰巳氏は、「危機管理で必要な悲観的予測が行われていなかった。自社の化粧品に問題があるのでは、との視点が決定的に欠落していた」と指摘
◇花王は2006年にカネボウを買収したものの、化粧品事業では「花王」と「カネボウ」のブランドが統合されなかった
(二重構造による「指揮命令系統、情報伝達過程」の違いが危機管理の問題につながっている)
わたしは、「指揮命令系統の二重構造」と「自社製品に問題があるかもしれないとの認識欠如」に注目したい。
「初動の遅れ」は、まさに、二重構造である。
遅まきながら、花王は、品質管理部門の統合の意向を自主回収後に発表したが、「顧客志向の強い花王」が「被害相談」を受けたならば確実に、原因が究明されるまでの「販売の自粛」を決めたと思う。
変な話、結果論かもしれないが、「販売自粛」の措置をとっていれば、一時的な売上や信頼度は落ちるが、結果として「因果関係なし」あるいは「販売中止」となっても、今回のような「84億円の損失計上になることはなかったであろう。
また、初動対応していれば、重い症状を訴えた被害者が2250人と莫大な人数になることもなく、治療費や通院に関する交通費などの費用負担は56億円という巨額な数字になることもなかった。
では、なぜ初動が遅れたのか?であるが、カネボウ化粧品に「自社製品に落ち度はない」という根拠のない自信であろう。
「被害発生は、ユーザー側の問題ではなく、自社製品に問題があるのかもしれない」という視点があれば、ユーザーにいち早く「使用の自粛」を促せたはずだ。
しかし、カネボウ化粧品は、被害情報が発生しているにも関わらず、販売し続けたのだ。
これは、ユーザーを大事に思っていない証拠である。
それにしても、今回の「カネボウ化粧品の肌トラブル事故」は、他社の美白有効成分化粧品にも大きな影響を与えていくだろう。
ロドデノールは医薬部外品である。
したがって、厚生労働省の認可も取得しているわけだ。
行政側の審査方法にも改善の余地があると言えるだろう。
(※ 自分を変える“気づき”ロジカル・シンキングのススメ メルマガ344号より)
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