世界文化遺産への登録が決まった富士山のお膝元、山梨県の富士五湖で外来魚のブラックバスの規制論争が再燃しているという。


メディアが報じている情報によると、


◇生態系に悪影響を与える恐れがある「特定外来生物」に指定され、駆除の対象だが、富士五湖のうち3つの湖は特例で放流が認められている


◇環境保護団体は「日本の象徴、富士山に外来魚はふさわしくない」と特例の廃止を主張している


◇地元漁協は「業者の生活がかかっている」と存続を求めている


という。


環境団体と漁協の「対立問題」を複雑にしているのが法律の存在なのだという。

その法律は、ひとつは「外来生物法」で、もうひとつは「漁業法」である。

「外来生物法」では、「ブラックバスの放流を禁じて」おり、一方、「漁業法」では、漁業権を認められた漁協は、その魚を増やす「増殖義務」を負っているのだ。


ただ、わたしのイメージとしては、「漁業法の趣旨」は「乱獲」に伴う「増殖義務」であり、ブラックバスの「釣り上げる際の引きの強さが魅力」となって集まる「釣魚客の集客目的」で「放流(増殖)」は趣旨が違うのではないかと思う。


「釣り客のボート代」を生業としているで業者からすれば、「自然のまま」では、釣り客が集まらず商売が成り立たない。

したがって、外来生物法を根拠として「放流の即刻中止」を要求することも、難しいであろう。


漁業権については、10年間認められ、更新制となっており、山中湖、河口湖、西湖で認められている漁業権は、いずれも今年、更新期を迎え、注目されていた。

そして、結果的には、管轄する山梨県は、ブラックバス(オオクチバス)の更新を認めたのだ。


その理由として、山梨県の行政委員会でもある「内水面漁場管理委員会」では、山中湖、河口湖、西湖の漁協は、

◇放流量を調整していること

◇放流した区域に囲いを設けている

◇持ち出しを禁止していること

から、生態系への影響を最小限に抑える対策を講じていることが評価されたのである。


わたしは、山梨県の決定は「妥当な判断」と現時点では思う。

もちろん、漁協には、

◇生態系への影響が生じない対策を引き続き実施していくこと

◇生態系への影響を継続的に監視すること

◇ブラックバス(外来生物法の対象)以外の釣り客に魅力ある代替魚を探し増殖すること

などが漁協には求められていくであろう。


ただ、富士山が「自然遺産」ではないが、世界文化遺産となったことで、仮に「現時点では、生態系への著しい影響はない」としても「商業的活動を助長し、本来生息しない外来魚を放流することは望ましくない」とユネスコから勧告を受ける可能性は生じるかもしれない。


世界文化遺産である「白川郷」に、観光客のための駐車場が増えすぎ、「景観を損ねている」とユネスコから勧告を受けた例もある。

つまり、富士山が世界文化遺産登録されたことで、登録理由となった「富士山信仰」以外の商業的活動は、今回問題となった「漁業権」以外にも、「生活権」があるとしても、「国際的な常識」に照らし合わせた対策を関係団体は講じていく必要があるのだろう。

(※ 自分を変える“気づき”ロジカル・シンキングのススメ メルマガ340号より)


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