「ビジネス文書では“起承転結”は向いていない」という説を唱える方が多い。

代表的な意見は「最初に結論がないのでスピード勝負のビジネスでは生産性が悪い」という説。


具体的には、

1) 文章を読み終わって、不必要な情報であったことに気づく
2
) 概要だけを知りたくても、全文を読まねばならない
3
) 内容を理解するのに負担がかかる
4
) 根拠の正当性を確認するために、読み戻らなければならない
5
) 不必要な情報が混入しても気づきにくい
というもの。

(「書く技術・伝える技術(あさ出版:倉島保美氏著)」より)



確かに、ビジネスの世界では、冒頭に結論がないと、最後まで聞かないと、結局、何が言いたいのかが、わからないので、聞き手がイライラし、じれてくることがあります。


実際、私も「ロジカル・シンキング」の講習会では、

『まずは結論を述べてください』そして『その後になぜそう考えたのか理由をMECE(ミッシー)やフレームワークを意識して整理して述べてください』

と指導している。


ただ、これらのケースで想定している「ビジネスシーン」は「聞き手(例えば上司)になんの話を話し手(例えば部下)がしようとしているか理解している場合」なんですよね。

聞き手と話し手の間に、話題の共有性が薄い場合や人間関係が薄い段階では、やはり「起承転結」を意識した方が私は「伝わりやすい」と思っています。


例えば、私が初めて訪問する「電気部品を専門に扱う商社」に「環境問題と環境経営」について講演するとします。

(※この商社は環境経営についての知識がまだ浅いとします)


そのようなシチュエーションであれば、

起:話し手と聞き手の「話の場」設定

(例:地球温暖化により南極の氷が溶けている話)

承:話し手の「絞り込んだ領域」の情報提供

(例:南極の氷が溶けると、日本でいえば海面がこのぐらい上昇する話)

転:「新事実」の導入

(例:商社などサービス業における環境問題は省エネばかりでないという話)

結:新事実を入れて考えると「あっと驚く結末」

(例:適正在庫管理や長寿命電材の顧客提案などが環境問題であるという話)

といった流れで講演内容を計画しなければ、たぶん、話し手が伝えたかったことは半分も伝わらないでしょう。


いきなり「貴社においては、適正在庫管理や長寿命電材の顧客提案が環境問題です」と結論から話したところで、突拍子があり過ぎて、聞き手は混乱します。

つまり、

◇聞き手と話しての人間関係が構築されていない

◇聞き手が現在理解していることとかけ離れ過ぎた概念は結論からでは伝わらない

からだ。


「ビジネス文書では“起承転結”は向いていない」という説は一理あるが、すべてのシチュエーションで「必ずしもそうでない」ということを認識すべきだ。

世の中にあふれる「さまざまな説」に振り回されない為には、「自分で正しく事実を捉え、なぜそうなるのかを検証する」という思考習慣が大事なのである。

(※ 自分を変える“気づき”ロジカル・シンキングのススメ メルマガ300号より)



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