東京都の猪瀬直樹知事が、2020年夏季五輪招致を巡って国際オリンピック委員会の倫理規定に反してライバル都市のイスタンブールを批判した問題は、正直、がっかりしました。

がっかりしたのは、

◇五輪を招致する都市のトップが五輪の精神に反して、相手を批判した

◇作家という「ことばの重み」に一番敏感な職業の人が、その影響を想像できなかった

からである。

この場では、「猪瀬知事が発したことばの真意」についての議論はしない。

実際は、当初、猪瀬知事が弁明したように、「通訳上の表現に誤りがあった」のかもしれないし、あるいは「イスラム教徒を侮蔑する真意はなかった」のかもしれない。

しかし、結果としては、大きく世界のマスメディアがこの「猪瀬発言」を報じたことで、

◇東京都知事の誤った世界観や宗教観が露呈された

◇五輪招致に関してマイナスイメージを高めた

ことは事実である。

「ことばの重み」といえば、私が何度か紹介している「北原白秋の詩」の「ひとつのことば」を思い出す。

(以下、北原白秋の「ひとつのことば」を引用)

(引用、ここから)

ひとつのことばで けんかして
ひとつのことばで なかなおり

ひとつのことばで 頭が下がり
ひとつのことばで 心が痛む

ひとつのことばで 楽しく笑い
ひとつのことばで 泣かされる

ひとつのことばは それぞれに
ひとつの心を持っている

きれいなことばは きれいな心
やさしいことばは やさしい心

ひとつのことばを 大切に
ひとつのことばを 美しく

(引用、ここまで)

つまり、実際の真意はともかく、ことばとは、「言葉の使い方ひとつ」で相手を不愉快な気持ちにさせたり、こちらの意図することが伝わらず誤解をさせてしまったりすることも多いのである。

「いわなくてもわかるでしょ」

「あの人は言葉足らずで誤解を受けやすいが実際はいい人だよ」

という概念は、コンテクストの高い、つまり「阿吽(あうん)の呼吸」で通じあう日本人の概念であり、価値観が多様な国際社会では、ことばがすべてである。

特に「宗教観」に関する話題は、日本人が、一般的に認識しているレベルより深いところでの話であり、中途半端に知識や価値観を発言すれば、日本国内ではともかく、世界の中では、確実に相手や周囲に誤解を与える結果となる。

つまり、私たちは、今回の「宗教観や世界観」を含め、

1)人格に触れるような発言 

例:どんな育てられ方をしたんだ! 

2)性格を変えるよう促す発言 

例:人を信用して騙されるような性格を直しなさい 

3)態度をすぐに変えろ という発言 

例:人によって態度を変えるのは止めなさい 

は、確実に相手との関係が悪くする可能性が高い「重いことば」として認識をし、行動する必要があると言えるのである。

(※ 自分を変える“気づき”ロジカル・シンキングのススメ メルマガ331号より)


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