516日の朝の情報番組(FNN系)「とくダネ」で「日本維新の会共同代表の橋下徹大阪市長が旧日本軍の従軍慰安婦を容認する発言」した真意について、橋下市長との緊急インタビューを放送していた。


お題は大きく分けてふたつ。

ひとつは「第二次世界大戦中の従軍慰安婦」発言で、もうひとつは「沖縄の在米基地司令官に対する風俗産業活用」発言だった。


特にメモをとって視聴していなかったので、うろ覚えの部分もあるが、橋下氏の説明は、概ね以下の通りだったと記憶している。


≪従軍慰安婦発言≫

◇従軍慰安婦の慰安所への日本軍の強制連行についての事実を示す資料が出てきたら日本人12千万人は総懺悔するべきだ

◇従軍慰安婦は、当時も、今も認められるものではない

(強制連行があったかどうかは関係なく日本は謝罪するべきだ)

◇従軍慰安婦について、認められるものではないが、当時の状況下では必要なものと考えられたことは理解できる

◇従軍慰安婦に限らず、当時はどこの国でも現地の女性を性のはけ口として活用していた事実はあり、日本だけが世界から「性奴隷制度があった」と糾弾されるのはおかしい。外交官の腕の見せどころではないか。

(他国も女性を性のはけ口にしていたから日本も許されるべきだ、ということではない、と発言)


≪風俗産業活用発言≫

◇世界で「風俗」というと売春、買春も指すので、表現が拙く、反省したい

◇あくまでも「合法的な風俗産業の活用」を言っただけで売春、買春は決して認められるものではない

◇海兵隊など米兵の「性に関する問題」は建前論ではダメで、真剣に議論するべきだ

◇「性に関する問題解決のひとつの手段」として「合法的な風俗の活用」を述べただけである


≪共通事項≫

◇慰安婦問題も風俗産業活用についても、政党代表としての発言ではない

◇政治家がさまざまな発言をするのは自由であるし、制限されるものではない

◇党としての結論を出す必要がある場合はきちんと決議してそれにしたがってもらう

(だからといって個々人がさまざまな考えを持つのは自由だ)


橋下氏の発言の要旨は、だいたいこんな内容だったであろう。

わたしも、誤解を受けたくないので、この話題からは「スル―」するのが無難であるが、今日の緊急インタビューを聞いている限り、「橋下氏の発言」は、非難を浴びる部分はひとつもない。

むしろ、マスコミは、放送や紙面の都合より「部分部分を切り取って報じる」ため誤解が増幅しているのだ。


感想としては、スタジオ側のキャスター、コメンテイター、ゲストが一斉に「橋下批判」を前提とした態度だったのには唖然である。

橋下擁護発言をすれば、スタジオ内で吊るしあげられるから、そうなってしまうのは止むを得ないかもしれないが、「感情論」「言い訳論」が先行していた。


たとえば、笠井アナなどは「橋下氏が強調したかった部分はいったいどこだったのか」と「国語のテスト」のような発言(言い訳)をしていた。

マスメディアは、インタビューを記事としてまとめる時に「話し手が強調していた部分」を「強調して報じる」のだ。

これは、ある意味、読者に対して、要旨を簡便に伝えると言う目的からすると、性質上、しかたがない。


ただ、マスコミ側が、話し手が強調したかった部分を、間違って捉えると、世間に誤解が増幅して伝わる。

今日の橋下発言からは、今までのマスメディアの報道は「勇み足」や「誤解」であり、それを誤魔化す(言い訳する)ために「本当に強調したかったことは何なんでしょうね」という笠井アナ発言になるのだろう。


私の個人的な見解としては、記者会見での「橋下氏の持論展開」については、「考えを述べただけで、強調するべきところは、特にない」と思うのだ。

あえて、橋下氏の特に言いたかったことを、ざっくりまとめれば、

◆日本だけが性奴隷制度があったとして世界から糾弾されているのはおかしい

◆米兵の女性暴行事件などの解決は建前論ではなく本質論で議論すべきである

ということだけなのである。


この2点を「橋下流」の、少し過激に聞こえる言い回しで発言したから、マスメディアが、「ツッコミどころ満載」部分を強調して、大騒ぎになったにすぎない。


しかし、橋下氏が、反省すべきは「翻訳問題」である。

習慣や文化、倫理観、法律の違う海外メディアも自国に対して、どんどん情報を発信する。

そう考えると、ツイッター的「つぶやき」で、記者会見で持論を展開したのは、日本のメディアなら「おいおい、文章読解力が無さ過ぎでしょ」といえるが、海外メディアはそうはいかない。

橋下氏の発言の趣旨を誤解されないような英文などをあらかじめ、用意するという配慮は必要なのだろう。


あと、これも女性を敵に回すかもしれないので、発言は、本来スル―したかったが、敢えて書くと、「スタジオの女性」は、もろに感情論で感想や意見を述べていたと思う。


個人的には、キャスターの菊川怜氏や脚本家の中江有里氏は、「あたまのいい女性」として評価していて、「論理能力がもう少しある人」と思っていた。

しかし、今日の様子からは「橋下氏は女性を根底ではバカにしている」「女性は男性の性のはけ口対象ではない」というところから議論がスタートしており、いくら、橋下氏が発言の趣旨を説明しようとも、「戦争を起こさないことが重要」「慰安婦制度は同時も今も許されない」という当たり前過ぎるところからしか論理展開ができない人種であった。


菊川氏については、東大卒だし、もっと論理能力が高い方かと思ったが、橋下氏が発言している最中も厳しい表情で睨めつけており、よくいえば「まっすぐで自分に素直な人」といえるが、「感性中心にものごとを捉える人」なんだなぁ、と少々がっかりした。


ただ、橋下発言、ちゃんと話を先入観なく全文を聞けば、「間違ったことは何一つ言っていない」(要は一般論を口にしているだけである)のである。

しかし、バイアスがかかった状態で記者会見を聞けば、本人の意に反したとんでもない発言として世間に伝播していくのである。

特に、小倉キャスターをはじめ、ニュースキャスターは、「視聴率で命をつなぐ人種」だから、「女性蔑視は許されない」と表明していた方が論理能力の無い視聴者の支持も得やすく、賢明だ。

橋下擁護発言をするようなものなら、視聴者からのバッシングも怖い。


そういう点においては、橋下氏は「大胆不敵」である。

よく「マスコミ戦略に長けているのが橋下氏」という言われ方をされているが、選挙戦略など「世間の風を読む」という点に関しては、明かに今回の慰安婦と風俗発言は、女性を中心にマイナス発言である。

しかし、橋下氏はわかっているのかもしれない。

つまり「世間に媚びた発言をして支持を得た所で、結局それはしがらみまみれの政治になる」と。

「しがらみのない政治が重要」とよく言われるが、「しがらみ」とは、支援団体や特定の組織をイメージしがちだか、「無党派層の一般市民」も「しがらみ」になりえるのだ。


つまり「わたしの考えの趣旨を正しく理解してくれる人についてきてもらえればいい」という方針でなんでもできる政治家が本来は強いのである。

結局、多くの政治家が「有権者からの支持(票)」を気にして、ホンネを言わない。

まさに、それは「しがらみ」そのものである。


それにしても、「橋下氏のカリスマ性」を活用して近づいてきた政治家は、今後、どんな行動をとっていくのだろう、と思う。



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