インターネットサービスを主な事業とし、アメーバピグを中心としたAmeba事業が好調なサイバーエージェントの藤田晋社長が、2012年1月24日付のプレジデントで「管理職に登用する基準」について述べていた。
記事で藤田社長は、次のような質問を投げかけていた。
【以下の3タイプの人材を、管理職としてふさわしい順に並べるとどうなるだろうか】。
[A] 人格がよくて、実績のある人
[B] 人格が悪くて、実績のある人
[C] 人格がよくて、実績のない人
結論からいえば、藤田社長の考えは、
[A]→[C]→[B]の順番である。
藤田社長が述べるその理由を、以下に引用する。
(プレジデントからの引用、ここから)
私は管理職に登用する際の選択基準を、一にも二にも人格に置いている。
もちろん、人格が優れていて実績も高ければ文句はないのだが、人格と実績のどちらを優先するかといえば、圧倒的に人格のほうである。
ネットベンチャー企業である弊社は、前例のまったくない世界でビジネスを展開している。前例のない世界では、斬新で優れた事業アイデアを発想できるかどうかが勝負を分けるため、クリエイティビティーに溢れた社員の存在が不可欠だ。
弊社のような企業にとって、上にいい顔をするために部下のアイデアを利用したり、保身のために部下の優れたアイデアを潰したりするモラルに欠けた管理職の存在は、最悪なのである。
特に、実績があって人格の悪い人間、つまりBタイプの社員は絶対管理職に上げないようにしている。なまじ自信を持っているだけに、このタイプの扱いが、最も厄介だからである。
(引用、ここまで)
なるほど。。。
特に印象に残ったのは、
「上にいい顔をするために部下のアイデアを利用したり、保身のために部下の優れたアイデアを潰したりするモラルに欠けた管理職の存在は、最悪なのである」
という藤田社長のことば。
自分の創造力、企画力に、夢中で熱くなることができる人材、そしてそういった人材を的確に評価できる人材が、クリエイティブなネットベンチャー企業には必要なのだろう。
次に、私からの質問です。
一般論として、会社がふさわしい評価をすべきなのはどの順番でしょうか?
[A] 経営理念を追求し、利益を出している人
[B] 経営理念を追求せず、利益を出している人
[C] 経営理念を追求し、利益が出ていない人
私の考えを結論からいえば、
[A]→[C]→[B]の順番である。
しかし、多くの企業をコンサルティングや監査を通じて見ていると、
[A・B]→[C]である。
要は、「考え方や手段は問わない、利益を出した人がエラい」である。
おそらく、多くの企業経営者が「企業は所詮、営利組織であり、利益追求集団である。なぜ、この考え方がおかしいの?? 理念だけじゃメシは食えない」と言うだろう。
しかし、もし「民間企業は営利組織であり、利益追求集団である」というのであるのなら、「なぜ、多くの会社で、傍から見ても立派」な「顧客を第一に考えます!」だの「人にやさしい仕事やサービスを追求します!」といった『経営理念や社是』を掲げているのだろうか。
逆説的であるが、「利益追求集団である」というならば、『手段は問わない、成果を追求せよ!』と「経営理念」を掲げればよいのだ。
しかし、そんな会社は、ヤクザ組織でもない限り、ないであろう。
もちろん、私は、「経営理念は追求しました。それに対するプロセスもしっかり計画し、実施しました、しかし結果がずーっと出ていません。でも、頑張っています」を評価すべき、とは言っていない。
「きちんとやりました、でも結果が出ません」は「お役所の事なかれ主義でそこそこの出世する世界」では成立する話ではあるが、やはり、民間企業においては最終的には利益も生まなければダメだ。
ただ、利益を生むまでのプロセスを、例えば、「経営理念」というもので「社員の考え方や方向性を一致させる」のであるならば、「プロセスを評価し、プロセスをどのように見直すべきかを考えて、そして結果を出した人」を評価すべきである。
ある会社の幹部の方と話していて、その幹部の方曰く、
「最終的な目的である“果実”を得たことで評価はできるけど、手段であるプロセスには評価を与えたくない」
とおっしゃっていた。
ただ、その考えでは、先にも述べたように「手段は問わない、結果を出せ」に通じてしまう。
また別の方であるが、ある大手事務機器販売会社の支店長代理をされていた方が、「支店長に与えられた営業ノルマに対して優秀な成績を上げていた社員が退職した時のエピソード」を教えてくれた。
その方の話では、たいていの場合、「数字を出していた社員が会社を辞めると、顕在化していなかった問題が噴出する」というのだ。
その方の場合は、支店の成績優秀な営業マンが退職すると、例えば、
◇お客の立場を考えない強引な営業や契約をしていた
◇お客さんの不満を会社に報告しないで自ら処理していた
◇それらの不満がその社員の退職により一気に噴出し支店長代理が尻拭いする
というケースにたくさん遭遇したというのだ。
このケースなど、まさに、支店長が「数字(利益)だけを追求し、それを出した人を評価するシステムだから、結果的に問題が噴出した」ケースの典型であろう。
やはり、「真っ当な組織マネジメント」においては「利益追求にいたるプロセスを管理し、プロセスに対しても正当な評価」をしなければ、組織は「健全に成長しない」のである。
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