「リスク管理」、「リスクマネジメント」という言葉が、昔に比べて日常生活の会話で用いられるようになった気がする。

「マネジメント」に関する仕事に携わるものとしては、嬉しい限りである。


ただ、上から目線に聞こえるかもしれないが、「リスクマネジメントのそもそもの概念」について誤解があるのも事実である。

結論からいえば、私が感じる大きな「誤解」のひとつは、「リスクマネジメント=リスクを発生させないこと」という誤った認識を多くの人が持っていることである。


誤解を生む原因かもしれないのが、リスクマネジメントの世界では「リスクを回避する対策を打つ」という概念がある。

おそらく「このこと」が「リスクマネジメントとはリスクを発生させないことである」との誤解を生むのであろう。


その他の誤解として、「不良品ゼロ」、「ミスゼロ」という『品質管理』の話と『リスクマネジメント』を混同している誤解も多い。

電気製品、機械製品、建築物施工など「もの作り産業」においても、金融業や情報産業、接客業など「サービス業」においても「目標の品質に到達しないものは不良品あるいは不良サービス(成果物)」となる。


したがって、あらゆる産業の現場では、「不良」を出さないために、プロセスを明確にして、各工程の「技術」を継続的に改善して「標準化」し、確立していく。

そして、その技術を安定して使いこなすために設備管理や要員のスキルを上げることで「品質を確保」するのである。

仮に、「不良」が発生すれば、「不良原因の究明・分析」→「不良原因の根本対策」を実施することで「品質レベルをさらに向上させていく」ということになる。

これが「品質管理」の話である。


一方、「リスクマネジメント」の場合は、現実的な問題として「不良ゼロ」は難しい。

プロセスを明らかにして改善していき「標準化」しても、もの作りであっても、サービス業であっても、「設備、材料、要員、環境、・・・」といったその時々の条件によって「不良」は、発生するだろう。

リスクマネジメントの場合は、そうしたリスクを認識し、確率を予測することなのだ。

つまり、発生確率や結果をコントロールすることがリスクマネジメントであり、品質管理とは、別の概念なのである。


あと「リスク」というと「損失が発生する可能性」ばかりを想像してしまうが「好機が発生する可能性」もリスクマネジメントでは重要な概念である。


難しい話は、省きますが、例えばなしで考えてみます。

「ある食堂」で「平日のランチ時間帯はアルバイトを2人」雇っていたとします。

しかし、「ある平日に食堂の近所で大きなイベントが開催されることになった」とします。

その場合、そのイベントの来場者はどのぐらいか、来場者の年齢層はどのぐらいか、来場者のお弁当持参率はどのぐらいか、当日の天候はどうなるのか・・・などを見積もることで、「好機(高い生産性)が望める」と判断すれば、「その日のアルバイトを増やす」といった対策を打つことで「リスクが最大となる」ようにコントロールするはずです。


このような考え方が「(損失)リスクを抑え込むだけでなく、(好機)リスクを大きくする」という概念も持つリスクマネジメントの考え方なのです。

(※ 自分を変える“気づき”ロジカル・シンキングのススメ メルマガ327号より)


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