2013年4月3日付のANN(テレビ朝日系列)ニュースによると、3月4日に東京都北区の研修施設の建設予定地で旧陸軍の砲弾とみられる不発弾が見つかり、その処理時間帯を巡り、北区、JR、自衛隊の間で調整が難航しているという。
記事によると、
◇不発弾の信管は安全装置が外れているなど不安定な状態にある
◇そのため、北区は、現場で処理する方針を固めている
◇現場で処理する場合は、半径100メートル以内が警戒区域に設定される
◇警戒区域には、JR京浜東北線の上中里駅や東北、上越、長野など5つの新幹線の線路が含まれている
◇日中に処理を実施した場合、作業は3時間程度とみられ、上下150本、9万人の利用者に影響が及ぶと見込まれている
という。
ネットで、色々と調べると、つまり、
◆北区→住民避難の都合上、日中に砲弾処理作業を行いたい
◆自衛隊→夜間に砲弾処理を実施した例が無いので日中に処理作業を行いたい
◆JR→約9万人の足に影響が出るため、夜間に砲弾処理作業を実施して欲しい
という状態で、話し合いは「平行線」をたどっているようである。
ちなみに、警察庁が把握している不発弾処理の平成19年と20年の届出合計件数では、東京都は132件(1,681個)もある。
(一番多いのは沖縄県で1339件(22,764個))
しかし、今回、北区の不発弾が1ヶ月以上も、その処理を巡って調整が難航しているということは、「新幹線など主要鉄道路線が100mの警戒区域に入る場所での不発弾の発見」というのはなかった事例なのだろう。
軍事評論家の田岡氏がテレビのインタビューでコメントしていたが、今回発見された「長さ40cm、直径9cmの砲弾」の場合、現場で処理をしたとしても、破片が警戒区域(100m程度)に飛び散ることはあっても、建物が倒壊するなどという事態になることはないという。
そうであれば、個人的には「近隣住民や鉄道利用者など利害関係者に一番影響が出ない時間帯での処理」を北区は選択するべきではないかと思う。
自衛隊は「夜間の処理実績が無い」と難色を示しているらしいが、夜間の建設工事のように、現場にライトを日中の明るさ並みに照らすことは可能であろう。
また、北区は「夜間に住民を避難させるのは困難」と言っているが、不発弾の処理現場から半径100m以内に住む住民の数とJR利用者が被る影響人数では、数万人単位でJR利用者の方が多いだろう。
また、JRから「損害賠償」を請求されれば、それは「北区の税金を持ち出すこと」になり、北区の警戒区域外の住民や議会から糾弾されるのではないだろうか。
それにしても、東京都内だけでも年間に70件弱(800個程度)の不発弾があり、その処理は自衛隊が担っているわけだから、砲弾の大きさによるとは思うが、「夜間の処理方法」や「警戒区域を狭めても安全な処理方法」を自衛隊は、開発(作業方法の改善)できないものかと思う。
話は少しずれるが、沖縄の建設会社の環境マネジメントシステム審査を実施すると「緊急事態の想定と対応策」に「不発弾発見時の対応策」や「ハブに噛まれた場合の対応策」が規定されているケースをよく見かける。
しかし、本州や北海道の建設会社の審査では、そのような「緊急事態の想定」をしているケースはまず見たことが無い。
だが、平成19年と20年のデータでは、例えば、北海道で35件(125個)、神奈川県で97件(369個)、千葉県で71件(566個)、愛知県で111件(403個)、大阪府で50件(462個)の不発弾等の発見が報告されているので、建設会社や自治体は、標準的な対応策を規定しておくべきなのだろうと思う。
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