大ベストセラー「国家の品格」でも紹介された会津藩の藩士の子弟を教育する「什の掟(じゅうのおきて)」。

この会津藩時代の「什の掟」が現代版では「あいづっこ宣言」として改訂され、『ならぬことはならぬものです』で締める「NN運動」に進化して「青少年問題や地域、行政、家庭などの教育問題の解決のカギ」として全国に広まりつつある。

まずは、7ヶ条からなる「什の掟」を紹介してみたい。

【什の掟】

一、年長者の言うことに背いてはなりませぬ

二、年長者には御辞儀をしなければなりませぬ

三、虚言をいふ事はなりませぬ

四、卑怯な振舞をしてはなりませぬ

五、弱い者をいぢめてはなりませぬ

六、戸外で物を食べてはなりませぬ

七、戸外で婦人と言葉を交えてはなりませぬ

う~ん、当時の時代背景からすれば「しっくり」くる7ヶ条かもしれないが、イマイチピンとこない。

現代版である「あいづっこ宣言」では、

【あいづっ子宣言】

一 人をいたわります

二 ありがとう ごめんなさいを言います

三 がまんをします

四 卑怯なふるまいをしません

五 会津を誇り 年上を敬います

六 夢に向かってがんばります

やってはならぬ やらねばならぬ

ならぬことは ならぬものです

なるほど、・・・こちらの方が「子供が自分を戒める自主ルール」として理解しやすい。

会津では、「不登校・いじめ・家庭内暴力・非行・凶悪犯罪」の発生原因に、「ならぬことは ならぬものです」という教えの不足を挙げている。

つまり、「子供の個性を伸ばす」とか「子供の自主性に任せる」といった美名のもと、今こそ、大人も襟を正し、子供に親として、年長者として教えなければならない事があり、時として、子供に愛情をもって正すことも必要だ、との考えである。

したがって、子供が理屈や屁理屈を言う前に「ならぬことは ならぬものです」・・・つまり、まずは「ダメなものはダメ」、そして「ダメな理屈は自分で考えて成長できる」ように、時代とともに大きく変化しない「常識」を子供に叩き込んで行こう!ということだろう。

NHKの番組「あさいち」で司会を務める会津出身の柳澤秀夫解説委員は、子供の頃に教育された「ならぬことはならぬものです」は、大人になった今でも「人生を過ごす上での行動規範の源」になっていると番組で語っていた。

人間は、時として「感情的になって自分を見失うこと」がある。

その時に、「ならぬことはならぬ」に照らし合わせて、社会の中で折り合いをつけて生きていく「自分の中の常識の尺度」を構築して成長していけばいいのだ。

話題は少し変わるが、「法律など社会的ルール」を決める時に、

◇やってよいことだけを決める(ポジティブリスト方式)

◇やってはいけない事を決める(ネガティブリスト方式)

がある。

よく言われる話であるが、日本の法律は、殆どが「ポジティブリスト方式」で、アメリカは「ネガティブリスト方式」である。

その結果、日本では「やっていいこと」に含まれない事項は、「監督官庁にやっていいでしょうか?」とお伺いを立てることになる。

これは、日本では、役所(監督官庁)に対して「お上」意識があり、また、「民間人が何かやりたいのであれば、お上にお伺いを立てなさい」という基本的な考えが根底にあるせいだろう。

だから、ホリエモンさんのように「(法律で)書いてはないんだから(お上に聞かずに)やっちゃいました」は、後だしジャンケンのように、役所から「これはやっぱりダメです」と罰せられてしまう。

しかし、それでは、後で怒られるのが怖くて、いちいち「お伺い」を立てる文化が醸成され、現代日本の問題点でもある「官は強し民は弱し」「天下り社会」形成の源になってしまう。

社会規範を決める場合は「什の掟」や「あいづっこ宣言」「NN運動(ならぬことはならぬものです)」ではないが、「ネガティブリスト方式」の方が、社会が活性化して、自律した社会や人間作りに役立つのかもしれない。

(※ 自分を変える“気づき”ロジカル・シンキングのススメ メルマガ255号より)


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