柔道の全日本女子選手に対する「暴力・暴言指導問題」は、2013年1月31日に、選手に告発された当事者である園田隆二監督(39)が講道館で開かれた記者会見で「一方的な信頼関係だった。一方通行の気持ちだったということに大きな衝撃を受けている」と釈明し、監督辞任を表明した。
おそらく、マスメディア的には、これで事件は収束に向かうであろう。
1月31日付の毎日新聞(電子版)によると、記者会見で、園田監督は、
◇「大変深く反省している。誠に申し訳ございませんでした」と謝罪した
◇約35分の会見中「選手と信頼関係が築けなかった」を繰り返した
◇「定期的に食事会を催し、ざっくばらんに懇談していたのでコミュニケーションが取れている」と感じていた
◇現役時代は「(指導者に)たたかれたことがあるが、体罰だと受け取ったことがない」と振り返った
◇「最初は対話でコミュニケーションを取っていたが、日がたつにつれて焦りが生じ、急いで強化しないといけない」という部分があった
◇「もっと(言葉で)伝える力があればよかったが、そういう力がなかった結果、そういう形になってしまった」と弁明した
などと貴社の質問に対して回答していた。
園田監督の記者会見を見て、そして、全日本女子代表選手時代に指導を受けていた現在国会議員の谷亮子氏へのインタビューを聞く限り、今回の「暴力・暴言指導問題」は、「全日本所瀬監督というプレッシャーから熱血指導が行き過ぎた行為」と理解したい。
しかし、
◇選手の方が、立場が弱いから、指導方法に対する不満や不安を言い出しにくい
◇親にも叩かれたことのない世代は、ビンタ一発でも「愛のムチ」とは感じない
という点について、園田監督は、認識と理解が弱かったのだろう。
私たちの時代であれば、テレビドラマではスクールウォーズが流行っていて、熱血教師が生徒のことを真剣に「なんとかしたい」との想いからの「目を覚ませ!」的な「ビンタ一発」は「愛のムチ」と感じた。
だが、今の世代はそう感じないのだ。
それだけ、社会の価値観も変わっているので、それに合わせた自分達の時代とは違う指導法が必要という認識は、指導者は持つべきなのだ。
それと、全日本柔道連盟(全柔連)と日本オリンピック委員会(JOC)の対応にも問題があった。
それは、
「全柔連」
◇2012年9月に問題が発覚した後、双方の事情を確認せず、公にしなかった
◇園田監督の「反省の態度」から、きちんと「告発」を検証せずに続投させた
「JOC」
◇12月に受理した「告発」に対して、全柔連に「再調査」を丸投げした
ということである。
結果的には、全柔連の対応は、選手たちの不満が残っていたため、「JOC」への告発になり、JOCの対応も、「責任組織への対応の丸投げ」で、なんの解決にもなっていない。
会社を例に挙げれば、セクハラやパワハラ問題で、担当部門長を飛び越えて、経営者に「ホットライン」で情報が入ったのに、「担当部門長に問題解決をゆだねる」ようなもので、あり得ない話だ。
全柔連はもちろん、JOCが、通常の問題対応力があるならば、「第三者組織による調査」を実施すべきなのだ。
大相撲における「体罰指導」が問題となった際に、世間の多くは「日本の国技であり、部屋制度など特殊文化を持つ大相撲のみの世界の話」と考えた。
しかし、大相撲以外のスポーツでも、よくある話で、そういう問題が発生した際の競技団体の問題解決の仕組みが確立していないことも、今回の騒動ではっきりしたことを認識し、そういう目で、全柔連やJOCの「体制の改善」状況を見守っていく必要があるのだろう。
(※ 自分を変える“気づき”ロジカル・シンキングのススメ メルマガ318号より)
『ちょロジ ニュースで学ぶ7つの思考法』(パブラボ刊)
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