組織の仕事の仕組み(マネジメントシステム)を監査する仕事をしていると「組織にたった2~3日訪問するだけでは、結果的には、大した影響を与えていないんじゃないか」と自虐的に考えてしまうことも多い。
例えば、何年も、ある組織に連続して訪問し、さまざまな指摘をしているのに、「えっ?!そんなこと言われてましたっけ?」という反応や「審査後に、指摘内容について満足に周知や検討さえ実施されていない」、「今までと何も変わっていない」といった状況を目の当たりにした時である。
感覚的には、こうしたケースの方が多い。
しかし、時々、監査で指摘したことをきっかけに、
◇ガラッと仕事のやり方が変わっているではないか
◇生産効率が向上し、業績も向上しているではないか
◇社内全体が意欲的に課題を抽出し取組んでいるではないか
という様子に出会うこともあり、こういう時は、素直に、嬉しくなってしまう。
先日、ある会社に訪問(連続で4年目)したら、上記のような「嬉しいケース」であった。
何が一番変わったのかといえば、端的には「経営者の意識」である。
経営者曰く「マネジメントシステム監査は行政手続きのように形式的なもの」という印象が強く「取引条件としての必要性・重要性は実感していても、実際の業務には役立てられないもの」と当初は捉えていたという。
つまり「外部監査という“行事”で監査員が1年に1回、訪問されるから、ご丁重に対応して、細かいことを言われないよう、気分よく仕事をして帰ってもらおう」というイメージで「マネジメント監査」に対応していたのだと言う。
この背景には、「規格の文言に対する忠実なチェックおよび関連文書や記録との整合性」を重視していた「ひと昔前の監査」によって「強烈なる外部監査に対する負のイメージ」がその経営者に定着してしまっていたことのようである。
確かに、わたしが訪問した1年目は、「経営者のインタビュー」の時間では、「明らかに早くインタビューを終わらせて欲しい」という経営者の態度と言動と雰囲気がありありで、審査チームもその雰囲気に飲まれ「わたしたちは招かざる客だな」という空気を読んだ対応をしていた気がする。
しかし、文書や記録のチェックよりもインタビューや業務実態を主体とした私たちの各部署においての監査を経営者が立ち合って見ていただくようになってから、どうやら「外部監査に対する概念と理解」が一気に変わったらしい。
要は、監査について「形式的な文書と記録が揃っていることの確認」というイメージから「定期健康診断」というイメージへの変化なのだ。
しつこいが、変わったのは「経営者の外部監査に対する意識」だけである。
経営者が「監査」を「経営に役に立つ情報を得られる機会」と認識しただけで、監査に対する社内の対応も、マネジメントシステムに対する改善態勢も、ガラッと変わったのである。
こうして考えてみると、「ものごとの“捉え方”や“印象”」が「人間の意識や行動を既定する」とつくづく思う。
「face to face(フェイス・トゥ・フェイス)」の場合は、特に「最初にそのものごとと出会った人(教えた人)における印象の影響度」が大きい。
逆にいえば「一度、誤った印象を植え付ける」と、そのイメージをガラッと変えるまでに「相当の時間を要する」のである。
ものごとは「最初が肝心要」なのである。
(※ 自分を変える“気づき”ロジカル・シンキングのススメ メルマガ311号より)
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