ワンフレーズやシンプルな表現で言いたいことを伝えられる人はすごいと思う。
誰もが知っている例を挙げれば、大相撲の元横綱貴乃花がケガを追いながら優勝した2001年の夏場所で当時総理大臣だった小泉純一郎氏が「痛みに耐えてよく頑張った。感動した!おめでとう」と絶賛しながら内閣総理大臣杯を授与した時の表現は、まさにその代表的なものだ。
私は講演会や講習会、あるいは、ブログやメルマガ、専門雑誌、著作本などを通じて「言いたいこと伝えたいことを表現」する機会があるが、どうも、先に挙げた小泉元総理やテレビCMや広告のコピーライターのように「ワンフレーズやシンプルな言葉」で「表現」するのが得意ではない。
ワンフレーズやシンプルな言葉での表現に長けている人は、例えば、講演会などを聞いていても聴衆に対する「つかみ」が上手い。
私にはとてもできない芸当なので、出来る人がうらやましいと思う。
ただ、先日、古い友人に紹介されて知り合った方と「ワンフレーズ表現」の話題をしていたら、「ワンフレーズ表現が世間でもてはやされているかもしれないが、長い文章や難しい文章が嫌われるようになり、そういった文章を読み解く能力が最近の人は薄れてきている気がする」ということを言われていた。
その方曰く、
◇ワンフレーズ表現はその意味を聴き手が都合のいいように解釈してしまう
◇ワンフレーズ表現は聴き手の経験値による理解力に依存していて説明が不足している
◇ワンフレーズ表現は「標語」のようで言葉としての創造性がない
というのだ。
私は、その話しを聞きながら、内心「なるほど・・・。」と合点するところが多かった。
ただ、敢えて「確かにそういう側面はあるけど、でもワンフレーズ表現はわかりやすいですよね?」と聞いてみた。
すると、「結果だけを知りたがる人が増えて、その背景を読もうとしないし、読まないから理解もできず、したがって、論理能力が鍛えられていない人が多すぎる」という。
これも、なるほどね!だ。
私は講習会で「問題解決手法」や「ロジカルシンキング」をテーマにすることが多い。
そういった講習会では「相手に言いたいことを伝える際には、まず冒頭で言いたいことを簡潔に表現してください。そして、その理由について、1層目の理由を述べて、さらに詳細な2層目の理由を説明をしていってください」というような解説をしている。
いわゆる「ロジックツリー」での表現であり、「わかりやすく伝える技術の王道」である。
しかし、その方曰く「ワンフレーズ表現」ばかりを好み、長い文章を読む経験が出来ていないと「冒頭の結論」しか読まないし、その後が読めないというのだ。
そう言われてみれば、何か調べ物をする時も、イマドキは「ネット検索」だから、「結果重視」で「答えはひとつ」的な思考習慣になっていると言えるかもしれない。
そう考えると、「ものごとを読み解く力」「相手の立場を理解して判断する力」といった、要は、論理的思考力が必要になる場面が必ずあるが、「ワンフレーズやシンプルな言葉」による表現ばかりにしか接していないと、そういった能力が養われないということになる。
つまり、「結論に至るまでが長い文章や難解な言い回しによる文章」に接していないと、平たく言えば、「誤解の理解」や「勝手な解釈」をすることになり、要は、「熟慮型の賢い人になれない」と言うことになるのである。
ただ、その方に私はもうひとつ質問してみた。
それは「優れた文学作品など難しい文章に接していなくても論理能力は身につくのか?」である。
例えば、元ライブドア社長の堀江貴文氏は、幼少の頃に「不朽の名作」といわれるような文学作品は殆ど読まず、マンガばかりを読んでいたという。
しかし、堀江氏は、討論会のテレビなどでは、内容の是非はともかく、論理的な議論が得意だ。
この質問に対しては、その方は「ホリエモンさんは、耳学問による想像力が高いから論理的な会話ができる特異な例ではないか」という。
確かに堀江さんは交友関係も広く、また、自分が直で経験しないことも、経験した人と接することで、自分に置き換えて想像し、創造する力があるから、筋道を立てた話し方、つまり「論理的思考力」が身に付いたのかもしれない。
こう考えてみると、ワンフレーズやシンプルな言葉による表現は、相手の心をつかみ、一瞬で感動や共感を与え、わかりやすく伝える手段のひとつではある。
しかし、そういった表現ばかりを好み、結論に至るまでの長い文章に接することを避けていると、論理的思考力が向上しない可能性があると言えるのであろう。
「長い文章や難解な文章はウザっ」と誰しも感じるが、「この人はどんな背景で何を言いたいのだろう」とたまには「じっくり文章を読む」という機会を作ることが必要なのである。
(※ 自分を変える“気づき”ロジカル・シンキングのススメ メルマガ276号より)
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