46回総選挙が終わり、2日目を迎えた。

総選挙結果を「総括」する番組やこれからの日本がどうなるかを「予測」する番組、そして、早くも「組閣」に着手し始めた安倍時期内閣の大臣予想をする番組が増えた。

新内閣が発足する来週半ばまで「政治話題」が続くのだろう。

それにしても、今回の選挙ほど、「漁夫の利」という言葉がぴったりとハマる選挙はなかったのではないだろうか。

つまり、月並みですが、政党乱立になると現行制度では民意が反映されないのだ。

各メディアや評論家が分析するように、自民党が比例代表(定員180)で獲得した議席数は、

2009年総選挙(政権交代選挙):55議席

2012年総選挙:57議席

(小選挙区は2009年が64議席、2012年総選挙が237議席)

と殆ど変っていない。

比例区の得票数で見ると、投票率は、前回総選挙より約10%落ちたが、自民党への得票数は、約1660万票(16,624,457票)と前回(18,810,217票)と殆ど変らず、民主党に投じられた票(29,844,7999,268,653)の差分の多くが「公明党、共産党」を除く「第3極」に流れたのであろう。

ちなみに、得票率で捉えると、公明党は11.45%→11.8%、共産党は7.03%→6.1%であり、「世の中がどんな状況に陥っても投票先を変えないいわゆる組織票」が盤石な政党であることが分かる。

話を元に戻すと、これだけ、政党が乱立すると、組織票をたくさんもっている(要は、「しがらみ」が多い)「自民党」「公明党」は本当に強い。

したがって、政党が乱立したことにより、小選挙区では、「反自民」の票が割れ、自民党が議席を獲得すると言うまさに「漁夫の利を得た」結果になったのである。

20121217日付の時事通信の報道によれば、「小選挙区で落選候補に投じられ、有権者の投票行動が議席獲得に結びつかなかった“死票”は、全300小選挙区の合計で約3730万票に上った」という。

この数字は、小選挙区候補の全得票に占める56.0%であり、前回選挙の46.3%と比較すると、約10%近く上昇している。

こうなってしまうと、現行の選挙制度は「民意」をまるで反映しないものとなり「主権在民、民主主義」という政治の原点で考えると、選挙制度を改める必要がどう考えてもあるだろう。

また、1217日付の読売新聞によると、「1票の格差」を理由に「二つの弁護士グループが27選挙区の選挙無効(やり直し)を求めて全国の8高裁・6支部に一斉提訴した」という。

定数是正についても、司法と国会がどのような動きを見せるか注目したい。

昔でいえば「保守と革新」といったような政治理念としての「対立軸」が明確でない限り、今後も「政党の乱立」は続くと思う。

政党の乱立が続く限り「死票」は増え、「しがらみ政党」が34割の得票数で67割の議席を獲得するという状態になる。

「少数政党の乱立は政治的に不安定」と教科書で習ったが、現状の選挙制度では「民意がきちんと反映されない選挙制度」となっており「民主主義国家」として問題だ。

日本の場合、イタリアのように少数政党が乱立する「連立政権」でいいと思う。

あるいは、「2大政党制」を目指すのであれば、石原さんの台詞ではないが「小異を捨てて大同につく」を基本として、重要政策以外は、党議拘束をかけずに超党派あるいは個人的思想で政策調整し、最終的に決議段階では自由投票にして欲しい。

「小異」の政策で考えが異なるのは、ある意味、当然であり、そのことで党の離合集散を繰り返すことは、「組織力のある政党の漁夫の利」を生むだけであり、結果的に民意を反映した民主主義国家とは程遠いものになる気がする。

もちろん、「誰が政権を担当しても同じ」という意見もあるが、それでは現行制度の最高裁判所の裁判官に対する「国民審査」と同じで、「総選挙は民主的な手続きを踏んで国会議員を選んだよ」というアリバイ作りの形式的な手続き論に選挙が成り下がってしまうことになるだろう。


【よかったらメルマガ読者登録お願いします♪】
(パソコンでアクセスしている方)
http://www.mag2.com/m/0000218071.html
(携帯でアクセスしている方)
http://mobile.mag2.com/mm/0000218071.html