2012122日に9人が死亡した山梨県の中央自動車道上り線・笹子トンネル崩落事故について、新聞各紙が報じる情報を見ている限り、「想定外の事故ではなく人災だ」と感じる。

まだ、すべてが明らかになったわけではないが、中日本高速道路が管理する笹子トンネルのつり金具と同型のものが設置されているトンネル5本のうち、ハンマーでたたいて内部の劣化を調べる「打音検査」を行っていなかったのは「笹子トンネルの上下線だけだった」という状況は「偶然の事故」ではなく「まさに起きるべくして起きた事故(人災)」であると言えるだろう。

中日本高速道路は「天井が高くて手が届かず、双眼鏡による目視検査で済ませていた」と釈明しているが、殆ど言い訳である。

天井まで約5.2mと報じられているから、「目視検査」といっても「点検と位置づけられる巡回作業を行った記録がある」というだけで、「目視検査の目的である外観検査」すら「はしごを使わずに双眼鏡で確認する」という行為がどの程度、妥当なものなのか怪しいものであり、まともに実施できていなかったと考えるのが普通であろう。

仮に、きちんと「目視検査」を行っていたとしても「内部の腐食」といった「目視検査では検出できない項目」は「打音検査」を実施していない以上、見逃されたことは明らかである。

したがって、「最後に打音検査を実施したのが2000年」「打音検査を実施していなかったのは笹子トンネルのみ」と報じられている現状からして、「笹子トンネルが他のトンネルと違う特殊事情(天井が高い)より規定された検査を勝手な解釈により実施していなかった」という観点から「起きるべくして起きた事故で人災である」と思うのだ。

それにしても、私が注目したいのは、仮に「打音検査をちゃんと実施していた」としても、中日本高速道路の管理は「ずさん」だと言える点だ。

その理由は、『規定された高速道路の維持管理に必要な検査を単に実施していただけで改善がない』からである。

「トンネル」については、今まで日本で発生した「トンネル崩落事故」から「トンネル自体の強度の検査方法」は、「トンネルを設計した当時に規定されたトンネルの維持管理に必要な検査方法が改善されてきた」だろう。

また、学術的にも、「トンネル」については、多くの研究者が研究を重ねてきたテーマであろう。

しかし、つり金具は、「トンネル外壁にアンカーボルトを打ち込んで固定」される構造で、ある意味、単純である。

したがって、トンネル工学が専門の研究者にとっては関心が薄い。

また、中日本高速道路も

◇トンネルの設計当時に決められた検査方法が本当に妥当な検査なのか

◇検査方法を見直す必要はないのか

という視点が必要だったはずなのに、逆に「検査作業の効率化というサボり」を認めてきたのである。

126日のニュースだと、首都高速道路会社が管理する「1号羽田線・羽田トンネル」の「天井板をつり下げる金具が2か所破断していて、損傷箇所を金属製ワイヤで補強する応急処置を実施した」という。

注目すべき点は「安全性向上のため、天井板そのものを年内にも撤去する」というのだ。

つまり、トンネル設計当時は「排ガス対策」として設置された天井板であったが、車の性能が向上し、「天井板の設置の必要性自体が無意味(必要ない)」というのだ。

別のいい方をすれば「トンネルに必要のない設備(天井板)の検査をしていた」訳である。

これこそ「ムダな作業」であり首都高速道路の「サボり」である。

検査を委託された会社からすれば、仮に「実施する必要がない検査業務」と分かっていても、首都高速道路からお金がもらえるんだから黙っておくか、という判断になる訳で、改善提案など気づいていても報告する訳がない。

以上のように考えていくと、直接的な事故原因は「やるべき検査(打音検査)をやっていなかった」ということになり、わたしたちも、そこに目が行ってしまうが、本当に私たちが「教訓」とすべきことは、中日本高速道路が管理する笹子トンネルの件にしても、首都高速道路が管理する羽田トンネルの件にしても、『昔決めたルールが現在も適切か否かについて全く検証し改善していない』という点なのである。

高速道路に限らず、日本の多くの社会的インフラについて、管理する組織が、このような状況であるとしたら、これからも続々と「想定外」という言い方の「怠慢による事故」が発生していくに違いない。

(※ 自分を変える“気づき”ロジカル・シンキングのススメ メルマガ310号より)


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