経営戦略やマーケティング戦略を策定する際のフレームワークとして「SWOT」(スウォット)分析という手法がある。

多くの方がご存知だと思うが、要は、「現状分析」「現状把握」の一手法で次のような考えである。

【組織の内的能力】
S
Strengths(強み)
W
Weaknesses(弱み)
【組織の外的要因】
O
Opportunity(機会)
T
Threats(脅威)
という「4つの要素」に分けて、組織の今を把握する手法である。

組織でも、人間でも、「業績を上げたい」とか「もっと成長したい」といった経営課題がある。

それに対して、戦略も立てずに、やみくもに「みんなで頑張ろう!」では、根性論の世界である。

仮に「みんなで頑張って」その時の課題は結果として解決したとしても、そこで頭打ちになってしまうのがオチであろう。

したがって、SWOT分析のように、

◇自分でコントロールできること→内的能力(強み、弱み)

◇自分ではコントロールしにくいこと→外的要因(機会、脅威)

に現状を分けて分析し、「自社の弱点補強」や「自社の特長を伸ばす」、「追い風に乗って資源投入する」、「事業上の脅威に備える」といった「対策」を取ることは論理的には効果的な経営戦略となる。

しかし、「SWOT分析は古い経営手法である」とか「SWOT分析は使えない」という意見も多い。

実際、

◆組織の「強み」や「弱み」と組織が考えている点が、実際はそうではない

◆「弱み」ばかりで課題だらけである

◆机上の空論に過ぎない

◆外的要因である「機会」や「脅威」を分析しても新たな想定外の事態が発生する

◆分析自体が「過去のデータ」なので新規性のある事業に対しては役に立たない

◆コンサルタントにSWOT分析させると膨大な報告書が生まれるだけで意味がない

などが挙げられる。

確かに、上記に並べたことは、一理あり、「その通り」でもある。

ただ、多くの中小企業を訪問し、指導している中で感じるのは、「SWOT分析」的な「4つの視点で自社や自社を取り巻く環境を客観的に捉える」ということが出来ていない組織や経営幹部は結構いるし、社内でそういった現状を共有化して経営戦略策定や目標管理に役立てていない組織は数多い。

あくまでも「SWOT分析」は「現状を把握するためのひとつの方法論に過ぎない」ということを認識することが大事である。

そして、自分の組織を「強み、弱み、機会、脅威」という軸で整理してみた時に「うちの組織が今後進むべき方策を立てる上で見落としている事柄がある」と少しは「気づく」ことが出来れば、それだけでも「めっけもん」と思えばいいのだ。

SWOT分析をする際は、過去のデータを集めて、詳細な分析をするのが「大手コンサルティング会社流」である。

しかし、中小企業においては、「定性的」「感覚的」に、ホワイトボードに「強み、弱み、機会、脅威」と書いて、それぞれに相当する事項を箇条書きでまずは挙げてみるのも良い。

そもそも「現状把握」の目的は、組織を成長させる上で「今、何をするべきか」、「今後、何をしていくべきか」について、「単なる根性論的施策」ではなく、その時点での適切で効果的な戦略を立てることである。

こうした考えに基づけば、「SWOT分析は古くて使えない手法である」といった議論をしている暇があれば「使える部分を最大限使う」という考え方で活用すればいいのである。

(※ 自分を変える“気づき”ロジカル・シンキングのススメ メルマガ260号より)


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