2012年8月31日に男子マラソンで活躍した瀬古利彦さんなど多くの名ランナーを輩出したヱスビー食品陸上部が2013年3月末で廃部すると言う報道があった。
各メディアの報道から状況を整理すると、
◇廃部は経営合理化の一環
◇スタッフと選手12名全体での移籍先を探す方針
◇エスビー食品陸上部は1954年創部
◇1984年から全日本実業団対抗駅伝を4連覇
◇全日本実業団対抗駅伝には2000年大会を最後に出場していない
◇近年は個人種目に集中して活動していたがロンドン五輪には代表を送り出せなかった
◇純利益は09年度の約19億8500万円から10年度は約9億900万円に半減
という実態。
結果論としては、「全日本実業団駅伝」など駅伝競技(チーム種目)や「マラソンや1万メートル」など個人種目で結果が近年残せなくなり、「ヱスビー食品陸上部の存在感」が薄くなり、企業としての費用対効果が乏しく、業績悪化もあり「廃部」という決断に至ったということになるだろう。
少し話題が逸れますが「理念経営」という観点で「ヱスビー食品陸上部の廃部」を考察してみたいと思います。
エスビー食品のウェブサイトを見ると、創部の理念と経緯が記載されている。
その記載をまとめると、
◇「よく食べ、よくスポーツすることによって真の健康がえられる」という理念がある
◇故・エスビーグループ最高顧問山崎至朗氏が学生時代、陸上競技に親しんでいた
◇企業理念は「食とスポーツを基本に健康を提案していくこと」
なのだという。
ちなみに、「理念経営」とは、『どんな経済状況下でも決して揺るがない企業理念を基にした経営手法』をいいます。
要は「企業理念を社内に浸透させることにより、組織を繁栄させ、健全に利益を生み出していくこと」です。
エスビー食品の企業理念は「食とスポーツを基本に健康を提案していくこと」だという。
つまり、この「企業理念」の象徴的な存在であった「陸上部」を廃止するということは、今後は、どのように「企業理念」を社外に示していくのか注目されると思う。
また、この「企業理念」は社内にきちんと浸透していたのか?
「単なるお題目」と化していなかったのか? といった点の検証も組織としては必要になるでしょう。
(もちろん、「食とスポーツを基本に健康を提案していく」という企業理念を止めるのであれば話は別であるが)
各メディアの報道では、ヱスビー食品スポーツ推進局長の瀬古氏ですら、この会社の決定を耳にしたのは廃部報道の1週間ほど前だったという。
個人的には「企業理念の象徴としての陸上部が存在」するのであるならば、現状に至る数年前から経営陣は「廃部基準となる結果」を陸上部に要求していくべきだったと思う。
厳しいようであるが「業績が悪くなったから廃部」という結論では「小学生でも判断できる」結論だ。
これでは「ご都合主義」あるいは「企業理念はお題目だけ」と外部から非難を受けても仕方のない経営陣の経営判断といえるであろう。
(※ 自分を変える“気づき”ロジカル・シンキングのススメ メルマガ297号より)
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