今週は「想像力がなさすぎるんじゃないの?」というニュースが相次いだ気がする。

1件は、「119番したのに救急車が派遣されず死亡した」山形大学の学生さんのニュース、もう1件は「犯罪予告のメールを送信した」としてアニメ演出家の方が逮捕されたニュースだ。

救急車が派遣されず亡くなったニュースとは、

◇亡くなったのは山形大2年だった大久保祐映さん(=当時19

◇大久保さんは山形市内でひとり暮らしをしていた

20111031日早朝に体調が悪くなり119番にダイヤルした

119番通報に対し、山形市消防本部は、救急要請ではなく「問い合わせ」と判断した

◇タクシーで病院に行くよう促されたため、救急出動せず、大久保さんは翌日病死した

◇救急車が派遣されず死亡したとして、母親が山形市に約1000万円の損害賠償を求めた

◇市側は「生命に危険が迫っている可能性は認識し得なかった」と、適切な対応だったことを主張した

というもの。

大久保さんと消防本部のやり取りは約6分間におよび、メディアなどで、その生々しいやり取りを聞いた。

結果論から論じるのは、山形市消防本部に不利かもしれないが、この「6分間のやり取りを聞いた感想」としては、

【山形市消防本部は119番通報した当事者に対する想像力がなさすぎる】

である。

確かに、山形市消防本部は、

◆出血や嘔吐の有無

◆ひとりで歩けるか

といった点を確認している。

しかし、やり取りでは、

◆名前を聞いているのに年齢を答えていて話がかみ合っていない

◆救急車を使わず、タクシーを使うように初めから誘導尋問している

のだ。

山形市消防本部には「救急車の出動のための判断基準」があったとされ、その基準により「適切な対応だった」と主張しているようであるが、あまりにも杓子定規な確認である。

119番を受付した職員は消防本部の職員だから、おそらく「救急救命士」の資格者であろう。

「なぜ、判断力が無くなっていて意識朦朧としている通報者の状況」を想像できなかったのだろう??と思う。

一方、犯罪予告をメールで送信したニュースとは、

◇犯罪予告のメールを流した大阪府警にアニメ演出家の北村真咲さん(43)が逮捕された(現在は釈放)

◇北村さんは20127月中旬に、ノートパソコンに買い替え、無料ソフトを数本ダウンロードしていた

◇犯罪予告のメールは729日に送信された

826日の逮捕までに10回前後、府警に任意で事情聴取された

◇北村さんは「第三者がメールしたに違いない」「脅迫文の書き込み自体知らない」などと無実を主張した

◇府警や大阪地検は「IPアドレスという確証がある」と聞き入れられなかった

◇また「認めたら罪が軽くなる」と持ちかけられた

というもの。

このニュースも、結果的には、「北村さんのパソコンがウイルスに感染し、遠隔操作で犯罪予告のメールが北村さんと無関係な第三者から送信された」ということで、北村さんはようやく、嫌疑が晴れ、釈放されたのだ。

このニュースも、山形市消防本部と同様で、

【大阪府警や大阪地検は決め付けてかかり想像力がなさすぎる】

である。

なぜ、「IPアドレスは単にメールが送信された端末パソコンであり、遠隔操作で第三者が送信することができる」という想像が働かなかったのだろう??と思う。

この二つのニュースから言える共通のキーワードは「想像力」である。

◇判断基準を単にチェックするだけで相手の置かれている状況を想像しなかった

(山形市消防本部)

◇証拠から「決めつけ」し、その証拠を否定する原因の可能性を想像しなかった

(大阪府警・大阪地検)

のである。

山形市の件に関しては、仮に「救急車の出動が必要なかった」という結果になったとしても、「通報者は意識朦朧で異常状態である」として出動すべきだっただろう。

大阪府警の件は、なぜ、IT技術と知識に長けた警察官や検事が「送検する・しない」の判断に加わらなかったのだろうか。

山形市の件は裁判になっているが、大阪府警の件は今後どのようになるのだろう。

仮に、この2件とも「消防本部や府警・地検の判断は不適切とは言えない」という結果になったとしても、これらの「判断プロセスの改善」は実施すべきだろう。

その際に「想像力をどう鍛えるべきか」も併せて検討すべきであろう。

(※ 自分を変える“気づき”ロジカル・シンキングのススメ メルマガ302号より)


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