「失敗」して「嫌な目」に合い、それを人に相談すると「嫌なことは早く忘れましょう!」とアドバイスされたり、そういった言葉で励まされたりする。

確かに、人は「失敗して嫌なこと」は早く忘れたい。

しかし、それは、長い目で見て「正解」であるのだろうか?

先日、テレビ朝日系の報道ステーションで、2012年のプロ野球セントラルリーグを制した読売ジャイアンツのMVP候補、阿部慎之介選手を特集していた。

私ごとであるが、幼少期は、プロ野球は、ジャイアンツファンだった。

(パシフィックリーグはロッテマリーンズ一筋)

しかし、小学生の時に「子供の目から見ても明らかに戦力不足」のヤクルトが、広岡達郎監督による「管理野球」で日本一になりヤクルトに興味を持った、

その後、野村克也監督の「ID野球」で「組織論」という観点で、さらに関心を持ってからは「ジャイアンツは天才バッターや投手ばかりを集める野球なのでどうも好きになれないなぁ」と感じていた。

以前、ジャイアンツのコーチを務めていた「野村ID野球の申し子」である「伊勢コーチ」が「ジャイアンツのバッターに対戦相手のデータを教えても彼らは天才だから“来た球を打ち返せばいいじゃん”とまるで配球などのデータに関心がなかった」というようなことをメディアの取材で回答していた。

私はスポーツの場合、「体力的に恵まれない“弱者”が論理的に努力して成功する」のが好きだ。

その理由は、「もともとの能力の高いものが勝つのは当たり前で、能力の劣るものが工夫する姿」こそ、自分の日常生活やビジネスへのヒントにもなるし共感できると思っているからだ。

だから、阿部選手の報道ステーションでの特集は「秘話」は意外だった。

ターニングポイントとなったのは201258日のDeNA戦。

この試合はジャイアンツがリードしていたが、キャッチャーフライを阿部捕手が落球したことで、あっという間に同点にされた試合。

この時点で、ジャイアンツはセリーグの4位と絶不調。

この後、阿部選手がとった行動は、

『選手のロッカールームに自らの落球シーンの写真を貼りつける』

だった。

このことは、

◇点差が開いていても油断したプレーをしてはいけない

◇キャッチャーフライの補球はボールの真下にきちんと入って取らなければならない

(上記2つは、自分に対する戒め。反省して失敗を繰り返さないようにしよう!)

◇チームリーダーが一番忘れたいことを敢えてロッカーに張り出して反省している

(後輩選手たちが失敗してもくよくよせずに思い切りプレーができるようになった)

といった効果をもたらし、その後のジャイアンツの快進撃になったのだ。

これは、ビジネスの世界でいえば、「失敗原因を振り返ってきちんと反省する」という「ロジカルシンキング」である。

スポーツの世界では、失敗した場合は「ドンマイドンマイ、気にせず、気持ちを切り替えていこう!」か「コーチや監督が頭ごなしに叱る」が常識だ。

確かに、試合中であれば、凡ミスは「さっさと気持ちを切り替える」ことが成功をもたらすかもしれないし、時としては、ちんたらしたプレーの選手に「喝」を入れることも必要だろう。

しかし、長いペナントレースの中で、凡ミスを「嫌なことはさっさと忘れよう」や「単に叱りつける」思考で行動すれば、選手たちはきちんと原因を反省しないし、プレーも「失敗を恐れて委縮」してしまう。

今年のジャイアンツは、昨年まで未勝利だった5投手が初勝利をあげているという。

これも阿部捕手が「能力はありながらも投球が崩れて打ち込まれる原因を若手投手にきちんと教えきっちりプレーさせた」結果だろう。

プロの投手は、一般人より、「コントロールがいい」とか「スピードが速い」もともと野球の素質があるのだ。

しかし、素質だけでは「勝てる投手と勝てない投手がいる」がその「勝てない原因」をきちんと分析してチームリーダーとして指導したのが阿部捕手なのだ。

このような思考は、従来のスタープレーヤーだらけの「根性第一」「気持ちが一番」「気持ちを切り替えて行こう」が基本スタイルだったジャイアンツには、存在しなかった組織体質ではないだろうか。

私は、阿部捕手は「単なる天才肌の選手」と思っていたので、この特集でちょっと見方が変わった。

しかし、「派手な野球が好きなジャイアンツ」は、きっとオフには大金を使って、「野球センスだけで成果を出しているスタープレーヤー」をまたじゃんじゃん獲得してしまい、この「良い傾向の組織体質」を潰してしまうんだろうな、と思う。

(※ 自分を変える“気づき”ロジカル・シンキングのススメ メルマガ302号より)


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