20121012日付の毎日新聞によると、11日付の朝刊で読売新聞が報じた「森口尚史氏が人工多能性幹細胞(iPS細胞)を使った世界初の臨床応用を実施した」というニュースに疑義が生じていると報じた。

記事によると、(12日付の毎日新聞より)

◇森口氏が客員講師を務めた米ハーバード大と、患者への治療を実施したとされる米マサチューセッツ総合病院が「森口氏の一切の臨床試験は、我々が承認したものではない」との声明を発表した

◇米ニューヨークで10日から開かれていた国際会議で、iPS細胞から心筋の細胞を作り、重症の心不全患者に細胞を移植する治療を実施したとポスターで展示したが、「研究内容の正当性に疑義が呈されたため」と会場からポスターが撤去された

◇ハーバード大学は、「森口氏は、99~00年にかけてマサチューセッツ総合病院の客員研究員だったが、それ以来、同病院やハーバード大とは関係がない。森口氏の職務に関わる臨床試験は、同大学あるいは総合病院の審査委員会により承認されたものではない」との声明を発表した

という。

この毎日新聞が報道した「事実」から、「iPS細胞による臨床応用による手術の実施」は「怪しい」と考えるのが普通であろう。

12日朝の各テレビ局のワイドショーでは、森口氏が「ハーバード大の客員教授である証明書」や「iPS細胞による臨床手術をしたとされる時期にアメリカにいたこと」、「臨床応用を指導した指導教授」、「臨床手術に関するデータ」など、要は、「手術に関するデータ」を示すものがまったく示すことができないのだという。

森口氏によると、ハーバード大の在籍証明は、日本の自宅にあるとの話であるが、「国際会議で発表しようと渡米した人」が、「臨床手術に関するデータを示すことができない」というのは、いくらなんでも、おかしい。

研究者であれば、「このような世界的な研究成果をポスター展示」すれば、「裏付け証拠」などについて研究者仲間やメディアから質問や取材の集中砲火を浴びるのは理解しているはずであり、「示す資料がない」とは信じがたい話である。

それにしても、「国際会議」事務局側も「ポスター展示」とはいえ、内容の真偽についてチェックはしなかったのだろうか?

私自身の経験でいえば、学生時代に学会発表をする場合、事前に学会事務局からチェックを受けた。

要は、小学生の自由研究発表ではないのだから、「事前にチェック」は当然しているはずだ。

iPS細胞を活用した再生医療、創薬開発に関しては、「実用段階」を待ち望んでいる人が世界中にたくさんいる。

最終的に「このニュースの真相」はどうなるか、現時点ではわからないが、「臨床手術」が事実であれば、「患者さんに対する経過チェックデータ」などがあるはずであり、森口氏は態勢を整えて、世間に説明を果たして欲しいものである。


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