名古屋に本社がある中古品販売大手の「コメ兵」がかつて、テレビCMで流していた「いらんものはコメ兵に売ろう」は東海地方では有名なCMだった。
しかし、テレビCMを流し始めた1977年当時は、壊れた家電製品、業務用工作機械、犬、猫まで持ち込む人が現れて、買い取りを断ると「宣伝は偽りか?」と絡まれ10年ほどでCMは止めたそうだ。
しかし、2009年5月から「衣類のいらんものはコメ兵に売ろう」とCM内容をリニューアルして再開したという。
それにしても、「コメ兵」の業績は好調で、ここ5~6年で、売上が倍増している。
◇景気低迷による家計の収入が増えていないこと
◇中古品に対する世の中の意識の変化
が中古品販売業界が追い風となっている社会的背景だろう。
つまり、「欲しいものをできるだけ安く買いたい」「無くても生活に困らないものをできるだけ高く売りたい」「一度買ったものを売る抵抗感が薄くなった」と言うことである。
ただ、「コメ兵」の快進撃の秘密は、そんな社会的な背景による追い風だけではない。
ノウハウの一部を挙げてみると、
◇コメ兵本館の売り場面積の8割をブランド品売り場にした
(ブランド品を安く買う、あるいは入手困難な商品を手に入れることは見栄であり優越感)
◇ブランド品売り場は「高級感」「品揃え感」を出すためにカウンターと設置し、新品も置いた
◇ブランド品の新品は並行輸入で仕入れ、中古品の利益還元で安く売る
(新品は商品全体の4割。しかし本業は中古品販売なので、これ以上は増やさない)
◇創業者からの鉄則は「高く買って安く売る。中古品はもうけすぎてはダメ」
(80対20の法則)
◇「80対20の法則」とは、「10人来たら8人から買い取る程度が適正な買い取り価格」と判断する目安のこと
(9人以上から買い取ると儲けが出ず、7人以下だと売りに来る人がいなくなる)
◇買い取りの特徴が「買い取り価格一発回答」で、「客の希望価格」を聞かない
(お客さんが『もう少し高く』と言っても一切応じない。その代わり、コメ兵としては精一杯の値段をつける)
◇販売するノウハウは、「1週間以内に商品の20%程度が売れるのが理想」の売値
(1週間で、30%も40%も売れてしまうのは、売値が安すぎると判断)
◇売値の下げ方にも「20」を駆使している
(「残った商品は必ず20%下げなさい。下げ幅が5%とか10%では、お客さんが『安くなった』という感じを抱かない。だからといって、一気に30%以上も引いてはダメ」
◇売れ残った商品は定期的、かつ、段階的に価格を下げる
(例:2カ月たって売れ残っていたら20%下げる。そして、値下げは必ず定期的に行う。たとえば、10万円の商品があるとして、2ヶ月後なら8万円で売れても、4ヶ月、5ヶ月、半年もたってやっと下げた場合、もう8万円では売れない。仮に6万円で売ったのでは損してしまう。定期的に下げていればどっかで売れる)
◇バイヤーごとの成績表をつくり、「80対20の法則が守られているか」「買い取った商品がいつ売れたか」「粗利はいくらか」チェックして各バイヤーの力量を高めている
中古品販売業の場合、新品を販売する商売と違って「顧客」が「2種類」存在する。
つまり、「コメ兵に商品を売りに来る人」と「コメ兵から商品を買う人」である。
したがって、至極当たり前の話ではあるが、組織が成長するための基本思考である「顧客満足を高める対象者」は、「売る人と買う人」であるから「高く買って安く売る。中古品はもうけすぎてはダメ」という考えを社員に徹底しているのだ。
したがって、おそらく「短期的に高い粗利を出しているバイヤー」であっても、「80対20の法則を守っていない」「買い取った商品の売れ行きが1週間で20%程度ではない」としたら、組織内でのそのバイヤーに対する評価は「売り手、あるいは買い手を満足させていない」と判断し、反省を促されることになるのだろう。
つまり、コメ兵内部の監視する管理指標としては「粗利」よりも「80対20の法則」や「商品の売れ行き」が適切に遂行していることの方が重要な指標なのだろう。
この考えは、中古販売業に関わらず、他の商売でも同じだ。
とかく「目先の粗利向上」に関心が行ってしまう経営者、管理職が多いが、組織を継続的に成長させるためには、顧客、購買先(仕入先、協力業者)、従業員が受ける利益のバランスをうまく保つことが必要なのである。
(※ 自分を変える“気づき”ロジカル・シンキングのススメ メルマガ212号より)
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