2012年9月29日にタンク爆発を起こし、消防隊員1人が死亡、重体の社員を含め36人が負傷した「日本触媒・姫路製造所」の事故から今日でちょうど1週間が経った。
各メディアの報道を見ていると「事故(異常)発見から消防に通報するまでの空白の50分」が日本触媒の安全管理に不備があった可能性のある業務上過失致死傷容疑の捜査ポイントとなるらしい。
この事故の発見は、午後1時ごろ、日本触媒のオペレーターがアクリル酸を貯蔵するタンクから上がる白煙を発見したのが始まりだ。
このオペレーターは日本触媒の協力業者の職員らしい。
ただ、実際に消防に「アクリル酸が異常反応して煙が出ている」と姫路市消防局に通報されたのは、オペレーターが事故を発見してから50分後の午後1時50分頃。
消防隊が到着した時は、既に日本触媒の自衛防災隊が放水をしており、現場では、社員が通報で駆け付けた消防署の隊員に「最悪、爆発の危険がある」と伝えたという。
そして、消防隊が放水準備をしていた午後2時35分頃にタンクは爆発したのだ。
ここまでの経緯は、すでに多くのメディアで報じられているが、疑問点は、
『オペレーターが事故発見後になぜ消防に直接通報しなかったのか?』
である。
これも、メディアの報道をチェックしていると、
『協力会社の社員から直接、消防には連絡してはならず、日本触媒の社員に連絡すること』
が日本触媒の手順で決まっていて、協力会社にそう指導されていたからだということらしい。
ただ、「石油コンビナート等災害防止法」では、「異常時は直ちに通報すること」が義務付けられている。
つまり、法律上は「協力会社の社員であろうとタンクの異常を発見した際は直ちに消防に通報すること」となっており、日本触媒の「緊急事態に対する手順書」自体が「間違った規定」になっていることになる。
また、10月6日の時事通信社の報道によると、日本触媒・姫路製造所では、「過去約30年間で5回の火災やガス漏れがあり、通報遅れなどを指摘されていた」という。
つまり、今までの、協力会社の社員や日本触媒の社員が「異常」を発見しても「直ちに消防に通報されない仕組み」が存在しており、常態化していたのだろう。
整理すると、
◆日本触媒・姫路製造所では、「石油コンビナート等災害防止法」で規定された「異常時は直ちに通報すること」が守られていないし、守られるべき手順書ではなかった
◆日本触媒・姫路製造所では、「過去の事故」発生後に「緊急事態の対応手順の適切性、妥当性を検証せず見直してこなかった」可能性がある
のだ。
ちなみに、環境マネジメントシステム規格のISO14001を日本触媒・姫路製造所は2001年7月に日本化学キューエイで認証取得している。
この環境マネジメントシステムの要求事項では、組織が、
◇緊急事態の想定と想定に対する対応手順の作成
◇緊急事態の対応手順の適切性・妥当性の事故後および定期的な見直し
などの仕組みが確立していることが求められている。
つまり、日本化学キューエイはISO14001の審査で、このような観点を審査していたはずだ。
「事故の発生=適切な仕組みがなかった=審査が妥当ではなかった」という単純な図式にはならないが、日本化学キューエイはこれまでの審査で、上記で私が指摘したような点を確認していたかどうか、検証する必要があると言えるのであろう。
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