私は仕事柄、本を出版したり、専門雑誌に50ページ以上の特集記事を書かせていただいたり、メルマガも毎週発行して6年目に入ったので、よく人から「いつ、原稿は書いているんですか?」とか「ネタはどうやって集めているんですか?」という質問をよく受ける。
ネタは、正直なところ、
◇仕事を通じて
◇新聞記事やテレビのニュース、ドキュメント、情報番組などを通じて
◇友人・知人とのおしゃべりを通じて
◇日常生活を通じて
◇その他もろもろ
と言った感じで、こまめに拾い集めてこまめにキーワードをメモっておくしかない(笑)
また、アンテナを高く、感度を鋭くしていないと「受信しても知らず知らずのうちに右から左に受け流してしまう」から、受容力や解析力は常に向上させておき、多様な価値観を理解する力を身に付けておかなければ、ダメだなぁ、と思う。
この辺の能力が落ちると、情報摂取量に比較して、ネタ収集比率が落ちてしまうのだ。
ネタは「すぐに原稿にしてしまう」ことがポイントなのだが、「メモのまま」にしてしまっているものも多い。
例えれば、買い物に行って、イカやお魚をさばかずにそのまま冷蔵庫の中に入れている状態だ。
本当は、早く「料理」にしてしまうのがネタを美味しく食べる定石のはずだが、「あとで料理しよう」と冷蔵庫に入れっぱなしにすると、ネタは痛んでくるし、当初のイメージと違った料理のネタになっていたり(もちろん、それはそれで結果オーライでいい料理になっていることもあるが)する。
それから「原稿はいつ書いているか?」になるが、これは、「コツコツと毎日、ブログと言う公開メモの状態で半製品にしています」というのが正直なところだ。
人生で2番目に出版した本の場合は、原稿量が「半製品」だけでは足りなかった。
この時は、精神的にキツかった。
締め切りは2週間後に迫っているのに、編集者から「ダメだし」をもらい(汗)、原稿用紙に換算して150ページほど足りない。
要は、原稿用紙換算で150ページは「書き下ろし」したのだ。
これからもチャンスがあれば本は出版していきたいが、こんな精神的にキツイ想いはしたくないなぁ、と思う。
「プロの物書き」なら、原稿用紙150ページはちょろい文字数だろう。
しかし、ノンプロの私には、仕事をしながら2週間で150ページ書くのは相当シンドイ。
この経験もあり、「半製品はたくさん作っておこう」というのが現在確立したスタイルである。
ブログなどで「半製品」にしておくと、雑誌などから例えば「3000字程度でこんな感じの原稿をお願いします」と言われた場合、二つ返事で「はい、OKです!」と即答できる。
それは、「半製品にしてある原稿から依頼のあった原稿に関連する記事を5~6個拾い出し、最近のトレンドに合わせて再加工(編集)することで、依頼原稿を完成させることができるからだ。
この方式だと、3000文字の原稿も2時間ほどで完成となる。
これが、依頼を受けてから「ネタを探して、文章を書く」とすると、まず、ネタ探しの段階で「七転八倒の生みの苦しみ」となる。
そして、ネタが見つかっても、「3000文字」となると、私の場合、著者校正も含めると3~5時間は掛かる。
これらの「長い原稿を書くための工夫」について私は「広瀬香美方式」と昔から命名している。
ご存知の方も多いと思うが、シンガーソングライターの広瀬香美さんの作曲家として感性が研ぎ澄まされていたピークは中高生時代だったという。
大人になると、音楽の原理原則を知り、頭で考え過ぎるから、「芸術作品」としては、意外といいものができないらしい。
広瀬さんはこの中高生の時期に1000曲以上もの曲を書きためた。
そして、プロとしてデビューした後は、自らが歌う曲はもちろん、多くの歌手に曲を提供しているが、その多くは、中高生時代に書きためた曲が原曲となってアレンジをしたものだそうだ。
毎日アンテナをいろいろと張りめぐらしていると、気づきや言いたい事、主張・提言がたくさんある。
しかし、「メモ」に残し、「ブログ」等で「半製品」にしておかないと、プロの物書きでもない限り、なかなかまとまった原稿量として変換して「製品化」できないのではないかと私は思う。
ちなみに「つぶやき」は「感覚的にものを捉えた意識の垂れ流し」であることが多いので、「意外とブログネタ(半製品)」にならない。
それは、原稿を書くと言う作業は、論理的に話を組み立てる作業だから、書いていくうちに、「つぶやき」の内容に矛盾があることに気づくからじゃないかと思う。
(※ 自分を変える“気づき”ロジカル・シンキングのススメ メルマガ273号より)