2012年9月3日付の毎日新聞が「ロンドン五輪陸上男子400mにも出場した南アフリカ代表のピストリウス選手が、ロンドンパラリンピックの200mの決勝で敗退し銀メダルに終わったこと」を報じていた。
記事によると、
◇大会第5日の2日夜(日本時間3日未明)にオスカー・ピストリウス選手が敗れる波乱が起きた
◇種目は、義足の選手が出場する陸上男子200メートルのT44クラスの決勝
◇ブラジル代表のアラン・オリベイラ選手に後半、追い抜かれた
◇レース後、「彼の義足は信じられないほど長い」とピストリウス選手は指摘した
という。
ちなみに、予選では、ピストリウス選手はこの200mで世界記録(21秒30)を出していた。
決勝レースはピストリウス選手が先行し、残り100mで約8mあった差をオリベイラ選手が逆転したのだ。
タイムは、オリベイラ選手が21秒45、ピストリウス選手が21秒52であった。
それにしても、「義足」に限らず、器具を使用した競技の公平性は難しい。
ピストリウス選手は「彼の義足は驚異的に長い」と指摘したが、現状では、ルールの範囲内に収まっている。
もちろん、「公平性を担保する器具の基準の検討」は必要ではあるが、「何を基準に公平」とするかは非常に難しい。
器具を用いるスポーツの「ルール改正」で有名なのは「スキーのジャンプ」である。
長野五輪までは「身長+80cm」のスキーの使用が許されていたが、長野五輪以降は「身長の146%」へと変更された。
その後も過剰な減量を防ぐために体重によるスキー板の長さ制限のルールもあるようだ。
「ルールはルール」ではあるが、しかし、器具を使用した競技の器具の基準とは、「本当に全ての選手にとって公平なルールとして妥当がある基準」と言えるかどうかは定かではない。
パラリンピックの場合、もともとは「ケガを負って体が不自由になった人のリハビリの一環」として障がい者スポーツが始まったという。
しかし、ピストリウス選手のように「ブレードランナー」として健常者の大会にも出場の門戸を開いた世界的に有名な選手が出てくるようになると、パラリンピックの世界的な関心度も向上する。
そうなると、「器具の公平性」についての議論も細かく、深いものになる。
障がい者スポーツの場合、「器具の基準」だけでなく「障がいの程度の基準」についても「公平性」をどう取り扱うかは、非常に難しい、と思う。