2012年8月14日付のデイリースポーツによると、歌手の美川憲一さんが所属事務所からの独立に向けた話し合いを進めているという。
記事によると、
◇24年間所属している現事務所の社長と金銭トラブルが生じている
◇金銭トラブルは、所属事務所とのギャラの未払いや遅配問題
◇金銭トラブルで信頼関係が崩れた
◇基本的には双方、独立に関して合意している
◇会見を行った美川さんは「つらい」と漏らし独立は苦渋の決断
ということらしい。
事実関係はわからないので、あくまでも憶測であるが、「ギャラの未払いや遅配」は本当に事実なのかな、と思う。
もしかしたら「今までは毎月この程度の金額が口座に振り込まれていたけど、最近はそれが無い」という美川さんの認識が「金銭トラブルがある→信頼を失った」という事実になっている気がする。
なぜなら、美川さんのようなタイプの芸能人は、
◇テレビ出演で顔と名前を売る
◇ネームバリューから客寄せを期待する地方の興行主がコンサートやライブを企画する
というパターンのビジネスモデルで生計を立てているはずだ。
しかし、昨今の「おねえ(お姉)」ブームで、美川さんのテレビタレントとしてのポジションは奪われてきて、露出が減っている。
そうなると、「さそり座の女」や「柳ケ瀬ブルース」など40年前のヒット曲しかない美川さんの「営業」を組みたくても、ニーズが薄れてくるのは当然である。
そうなると、無理矢理「地方営業仕事を作る→ダンピングにより1公演の単価が下がる」という状態になる。
つまり「未払いや遅配」と美川さんは認識していても、公演の単価や回数が良かった時代より減り、美川さんに支払われるギャラ自体が減った、ということではないだろうか。
そうなると、生活水準を変えられない芸能人はつらい。
美川さんは、独立したところで、「いばらの道」が待っている気がする。
若い世代は忘れてしまったと思うが、今から30年近く前は、美川さんは芸能人としてどん底だった。
大麻問題で何度も逮捕され「芸能界追放」になりかけ、「改名」(美川けん一)もした。
そこをコロッケさんが美川さんのモノマネをして人気に火が付き、中性キャラを構築して、今のポジションを作ってきたのだ。
きっと、芸能事務所社長は、どん底だった美川さんを売り込み、ヒット曲がないにもかかわらず、今のポジションを構築するために相当の努力をして、それらを美川さんには「一生懸命働いてくれさえすればいい」と敢えて裏事情は見せてこなかったのではないか。
美川さんの「タレントとしての再ブレイク」はおそらく、ないだろう。
お世話になってきた事務所と「収支の現実」を話し合い、以前より人気は下がったと言えどもネームバリューはあるのだから、身の丈に合った営業活動とライフスタイルと経費管理をして生計を維持する計画を立てる方が双方にとって賢明ではないだろうか。