夏の全国高校野球選手権大会の7日目は雨のため、全4試合が15日に順延されたという。
以外にも、夏の大会が雨で順延されるのは3年ぶりなのだそうだ。
大会は2週間以上も開催しているのに、雨による順延って意外と少ないんですね。
それから、6日目の試合で、野球マンガ「ドカベン」の世界を再現させるようなプレーが済々黌対鳴門戦であった。
そのシーンは、
◇済々黌が2-1のリードしている展開の「7回1死一、三塁」という場面
◇遊撃を襲ったライナーが好捕された後、一塁に転送され、併殺となった
◇三塁走者の中村謙太二塁手は三塁に戻らず一気に本塁へ
◇3アウトよりも早くホームを踏み、生還が認められた
というもの。
野球に詳しい人でも、このシーンは「えっ?」である。
それは、
◇ライナーが好捕された時点でツーアウト
◇離塁が早かった1塁にボールが転送されスリーアウト
◇スリーアウトチェンジだから3塁ランナーの得点は認められず
と考えるのが普通だ。
しかし、野球規則では「アピールプレー」というものがあり、この場合もアピールプレーになる。
つまり、ボールを3塁に戻してベースをタッチして、鳴門が「3塁ランナーの離塁が早かった」と審判にアピールすれば、「1塁ランナーのアウト」(スリーアウト)と「3塁ランナーのアウト」(フォーアウト)が置き換えられて、3塁ランナーの進塁(ホームイン)は無効になったのだ。
だが、鳴門高校は、この「アピールプレー」をしなかった。
フェアプレーゾーンを超えてベンチ側に戻ったら、アピールプレーはもうできない。
そこで、済々黌は、鳴門高のベンチへの戻りを急がせるために、すぐに守備につくポーズを見せたのだそうだ。
このエピソードで面白いのは、進学校である「済々黌」の池田監督が「頭を使う野球じゃないと勝てんけん。野球規則を読んで話し合え」と常に「野球規則」を隅から隅まで勉強しながら練習していたということだ。
そして、練習のシートノックにアピールプレーも組み込んでいたのだと言う。
ただ、練習したアピールプレーの場面には、これまで1度も巡り合わなかったという。
それが「18年ぶりに出場した甲子園」でまず5回に1つ目があった。
この場面は「1死一、三塁で遊直。
しかし、このシーンでは、ホームインが3アウトより遅かった。
そして、7回は同じようなシチュエーションで、3塁ランナーの本塁生還の方が1塁でのアウトより早く、得点が認められたのだ。
ちょっと意外であるが、野球はこのように「審判は目の前のプレーの判定はするが試合をしている当事者からアピールされなければ何事もなかったかのように自ら指摘するようなことはしない」スポーツなのだ。
たとえば、ホームランを打って、いずれかのベースを踏み忘れたというシーン。
この場合、守備側がバッターがベースを踏んだかどうかチェックして、もし踏んでいない場合、審判にアピールしない限り、ホームランになる。
しかし、守備側がベースを踏んでいない事を目撃し、ボールをそのベースにタッチし、審判にアピールすればバッターアウトとなり、ホームランは認められない。
もちろん、「確率論」でいえば、「野球規則を熟知しての頭脳プレー」はごく僅かのチャンスかもしれない。
しかし、「いざという場面」では「知っていてできるか、知らないか」の違いは大きい。
野球ってなかなか奥が深いスポーツだよな、と思う。