ロンドン五輪も終盤戦になり、旧聞に属する話で恐縮ですが。。。
体操男子個人総合の内村航平選手について振り返りたい。
「賭け事」で有名なブックメーカーのオッズで、あの陸上界の最速男「ウサイン・ボルト選手」の金メダルの確率より「確実」と言われていた体操の内村航平選手が、見事金メダルを獲得した。
月並みな感想だが、この結果は「日本国中を勇気づけるできごと」であると言えるだろう。
もちろん、辛口評価をする人であれば、
◇個人総合の予選も兼ねた団体予選では鉄棒から落下するなど不調だった
◇予選が不調だったせいで種目別決勝に進出したのは「ゆか」のみとなった
◇団体決勝でも「あん馬」の終末技で失敗して「あわやメダルなし」となるところだった
◇「緊張したことが無い」といっていたけどやっぱり緊張するではないか
といったことも内村選手に対して言うだろう。
しかし、結果から考えると「ロサンゼルス五輪で具志堅幸司さん」が個人総合で金メダルを獲得して以来の金メダルであるから、素直に「すごい!感動した!」という感想をもらしてもいいのだろう。
内村選手のエピソードはたくさんあるが、その中でも私が注目したエピソードは、
◇5割の要素で演技構成を組む
◇寝起きでも勝てる練習を積む
という点だ。
前者は「自分の技の5割程度の要素で演技構成を組んでも勝てる練習をする」という意味で、後者は「どんな状況でも平常心で演技できる練習をする」ということらしい。
つまり、内村選手は、「リスクを無視すればまだまだ難易度を上げた演技ができる」ということなのだ。
オリンピックの代表になるような選手であれば、なんのプレッシャーもない「平常心」で演技すれば、誰もが力を発揮する。
しかし、オリンピックという「非日常的な場」で実力が出せなければ意味がない。
そこで、内村選手は、「寝起き」などわざと「非日常的な場」を作り出して、そのような状況下でも実力が発揮できるような練習しているのだろう。
話題はかなり変わるが、「そろばん教室に通えば暗算が速くなる」とか「公文式で学べば頭がよくなる」という話を聞いて、自分の子供を通わせ、子供に結果が出ないと「そろばんも公文も役に立たない」とおっしゃる方が意外とたくさんいる。
しかし、その場合「そろばんや公文が役に立たない」訳ではなく、「そろばんや公文を通じて何を鍛えようとしているのか」を理解していないケースが多い。
内村選手の場合は「コツコツと繰り返し実施する基本練習」と「非常心の設定による練習」により、大舞台でもプレッシャーを感じにくく、確実に演技できる強さへとつながったのである。
(※ 自分を変える“気づき”ロジカル・シンキングのススメ メルマガ292号より)