2012年7月27日付の毎日新聞(電子版)によると、
「滋賀県大津市で2011年10月に同級生からいじめられていた市立中学2年の男子生徒が自殺した問題で、大津市教育委員会が先週提出した自殺に関する報告書について、滋賀県教育委員会が再提出を求めている」
ことを報じていた。
記事によると、この経緯は、
◇文部科学省は2006年の通知で、児童・生徒の自殺や重大事件があった場合、市町村教育委員会に対し概要を説明した報告書の作成を要求している
◇市町村教育委員会が作成した報告書は、都道府県教育委員会を通じ文部科学省に提出することを求めている
◇大津市教育委員会は、「損害賠償請求訴訟が係争中」などとして報告書の提出を見合わせていた
◇滋賀県教育委員会から7月19日に催促され、大津市教育委員会は20日にメールでA4判2枚の報告書を提出した
◇滋賀県教育委員会は「いじめに関する記述が具体的ではなく不十分」として再提出を求めた
ということらしい。
「記述が不十分」とされた報告書の項目は、『事件等の経緯』と『当該児童生徒に関すること』の項目で、前者は、「アンケート調査等により、3人の生徒から当該生徒に対していじめがあったことが発覚した」とのみの記述で、後者は、「プロレスごっこなどでふざけあっている場面が何度か見られた。ふざけ過ぎる場面では担任が注意したり、当該生徒に声をかけたりすることが数回あった。その際はいずれも『大丈夫』等の返答であった」との記述しかなかったという。
このニュース記事を読んでの感想は、
◇大津市教育委員会は、「いじめ問題」の再発防止に取り組む姿勢が希薄
◇県に催促されたことによる「間に合わせ文書」で、文書作成能力が弱い
と思った。
ただ、文部科学省が提出を求めている「自殺や重大事件があった場合の概要が記述された報告書」の目的は何なんだろう?と思う。
ふつうに考えれば「学校における自殺や重大事件を報告させて、それらの根本原因を究明し、撲滅していくため」であろう。
しかし、そうであれば、「事件の概要を報告する」ことにどれほどの意味があるのだろう?と思う。
うがった見方をすれば、文部科学省が「全国各地の学校における自殺や重大事件の情報はちゃんと把握していますよ」という「アリバイ作り」だけのためのような気がする。
話は少し逸れるが、「問題が発生した場合の報告書」といえば、数年前に発生した食品の衛生問題で、ある県の保健所が、食品の衛生問題を発生させた某大手企業に対して「是正報告」を求めたが、結果的に、再提出させたことを思い出す。
この時の「報告書の再提出理由」は、「食品の衛生問題発生の経緯とその処置だけしか報告されていないため」というものだった。
私はこのニュースを知った時に「役所(保健所)もやるじゃん」「上場大手企業といっても報告書作成レベルは低い」という感想を持った。
私は以前勤務していた組織が「みなし公務員」になる「行政庁」だったため、「役所言葉」を少し理解しているが、当時(約20年前)は、「役所が使う是正」の意味は「問題発生に対する処置」のことで、いわゆる「問題の原因を究明してその原因を取り除く対策=再発防止」という概念は含まれていなかった。
だから、この「保健所」が「某大手食品メーカー」に対して「問題に対する処置しか報告されていないから受理できない」との判断結果に「世間では当然のことだけど役所も変わったな」と感じた次第であった。
話を元に戻すが、それにしても大津市教育委員会の「事件に対する当事者意識の欠如」と「文書作成能力の低さ」には唖然としてしまう。
本来、教育委員会は「その市町村における教育行政の意思決定機関で司令塔」であるはずだ。
しかし「問題解決手法」の「いろは」さえちゃんと理解していないのだ。
一般論として、多くの企業では、生き残り戦略のひとつとして「自分達でものを考える組織体質」に変貌するためにマネジメント教育に力を入れているところが多い。
「自治体関連組織」に不足しているものは「マネジメント教育」ではないかと思う。
(※ 自分を変える“気づき”ロジカル・シンキングのススメ メルマガ291号より)
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