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2012年6月14日付の時事通信(電子版)の報道によると、「文部科学省がまとめた結果から、全国の法科大学院73校の2012年度入学者のうち、86%に当たる63校で定員を下回った」という。
記事では、
◇定員割れの法科大学院は前年度より4校増加
◇73校のうち、35校は定員充足率が50%未満
◇定員充足率が最も低かったのは神戸学院大の6%
(定員35人に対して入学者は2人)
◇その他の定員充足率は、東北学院大が7%、駿河台大が10%
◇国立大で最も定員充足率が低かったのは新潟大の14%
◇全校の定員は前年度比87人減の4484人で、入学者数は同470人減の3150人
(この数字は、入学者がピークだった2006年度の54%)
◇入試は受験者数1万6519人に対し合格者数は6522人(競争倍率は2.53倍)
◇文部科学省の補助金削減基準の一つである「競争倍率2倍未満」は13校
だったと報じていた。
上記の状況は、新司法試験制度がスタートし(平成18年から)、続々と法科大学院が誕生した時に危惧していたが、今後。さらに加速するだろう。
結果論であるが、やはり「こうなったか」というのが正直な感想である。
「定員割れ」、「入学希望者の減少」の理由として、まずは、法科大学院を修了した後の司法試験の合格率の低さである。
新試験制度ができた当時は、確か「合格率は6~7割程度」として制度設計されたはずだ。
しかし、実際は、50%になったことは一度もなく、ここ数年は20%台(約2000人強)である。
もちろん、旧制度では、合格率は2~3%という超難関資格であるから、それに比較すれば「合格しやすい」とも言えるが、旧制度では「法科大学院に入学して修了する必要性」はなかったから、中学や高校や大学を卒業後、一心不乱に司法試験を受け続け、どこかで「見切りをつけて別の世界」に進むことも可能であった。
しかし、法科大学院は、2年(法律系大学出身者)、あるいは3年掛けて就学する時点で、最低でも1000万近い授業料や生活費を要する。
つまり、これだけ多額の「投資」をするのに「合格」というリターンの可能性が低いのだから「人生のバクチ」に出る人は、当然減少する。
それともうひとつは、「法科大学院を作り過ぎた」(文部科学省が設置許可をし過ぎた)と言うことである。
「国策として毎年2000人~3000人の司法試験合格者を輩出したい」とするならば、「法科大学院の定員」自体を「4~5000人」とするべきだったと思う。
医師国家試験や歯科医師国家試験の合格率が90%を超えていることを考えれば、法科大学院設置の時点で「司法試験合格者を絞る」よりも「法科大学院入学時点で絞る」必要があった。
旧司法試験時代は、「ペーパー試験に合格するために司法試験対策ばかりしていて社会性の無い司法試験合格者が多く誕生している」という批判もあって現制度を作ったはずである。
しかし、合格率がこうも低いと、今後はさらに「法科大学院まで進学できるお金持ち」で、かつ、「最終的に司法試験に合格せずとも人生をやり直せる」と考えられる人しか、そもそも「司法試験にチャレンジしなくなる」だろう。
これでは「新司法試験制度を作った時の目的」を果たせない。
ご存知のように「現制度」では、ドラマや映画化された「HERO」で木村拓哉さんが演じた久利生公平検事のような「中卒検事」は誕生しない。
それでいいのか?と私は思う。