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若干、旧聞に属する話となってしまったが、最近、テレビでは殆ど報道されなくなった「利根川水系の関東の浄水場で国の基準を超える有害物質ホルムアルデヒドが検出された問題」について、振り返ってみたい。
この問題は、当初(5月19日)、原因が分からないまま取水停止となり、野田市や柏市などで断水となり、一時、地域住民に混乱が生じた。
その後、埼玉県が行った調査結果から、埼玉県本庄市の金属加工業「DOWAハイテック」から廃液処理を委託された群馬県高崎市の産業廃棄物処理業者2社が塩素と反応してホルムアルデヒドを生成する原因物質ヘキサメチレンテトラミン(HMT)を利根川水系の烏川に流していた可能性が高まったことを発表した。
この問題について、整理すると・・・
【DOWAハイテック】
◇当社世界有数の銀粉メーカーで、携帯電話やパソコンなどに使われる銀粉の製造過程でHMTを使用する
◇当社は2003年11月にも利根川にHMTを流出させ、ホルムアルデヒドが検出されたことがあった
◇2012年5月10日から、濃度37万ppm(37%)のHMTを含む廃液計約150トンの処理を高崎市内の産廃業者2社に委託していた
◇産廃業者に「HMTが含まれていることを告知しなかった」理由について、「廃液の分析値は示しており、その中に(HMTが含まれている)全窒素があるので、通常の業者ならHMTが含まれていることは分かると思っていた」と説明した
【産廃処理業者】
◇約60トンを委託された業者は廃棄物処理法に適合した処理施設がある
◇その処理施設は、水質汚濁防止法などによる法規制のないHMTを完全に分解する能力はなかった
◇残る約90トンは、更に別の業者に再委託し、焼却処理されていた
◇DOWAハイテックからは廃液にHMTが含まれていることは知らされていなかった
【廃棄物処理法など法規制】
◇廃棄物処理法は、委託に当たっては廃棄物の性質などを書面で告知するよう定めている
◇書面での告知を行わなかった場合、3年以下の懲役か300万円以下の罰金が科される
◇水質汚濁法ではHMTに対する規制はない
となる。
つまり、この問題を簡単に表現すれば、
『DOWAハイテックがHMTを含む廃液を産廃業者に処理委託し、産廃処理業者の処理設備にはHMTを分解する能力がなく、利根川水系の烏川に排出したら、浄水場の水処理過程で使用する塩素とHMTが反応してホルムアルデヒドが発生し、基準値を超えた』
と言うことになる。
この問題について「法律論、技術論などを無視」して「常識的な仕事のやり方」として「何が問題だったのか?」を考えてみると、
◇DOWAハイテックの「想定される緊急事態の特定」が不十分
(過去にも同様の問題が発生していたことから廃液に含まれるHMTによるホルムアルデヒド発生は想定されたはず。その想定に対する備えができていないし、過去の反省も活かされていない)
◇DOWAハイテックの産廃業者選定基準が不十分
(HMT処理能力がある設備を保有する産廃業者を選定し委託すべき)
◇産廃業者の契約内容の確認手順が不十分
(明確に告知されていなかったとはいえ、廃棄物の性質を、十分に委託を受ける時点で確認すべき。また契約担当者に廃液成分についての知識を身に付けさせるべき)
◇水質汚濁法や条例でHMTの排水濃度を定めるべき
(濃度が薄ければ水の消毒用の塩素とHMTが反応してもホルムアルデヒドの基準値は下回ったはず)
といったことが考えられる。
今回の問題は「悪質な製造メーカーと産廃処理業者が引き起こした問題」という構図では決してなく、あくまでも「過失」ではある。
しかし、上記に挙げたようなマネジメントシステム上の改善を各組織が図らなければ、またどこかで似たような問題が再発するであろう。
(※ 自分を変える“気づき”ロジカル・シンキングのススメ メルマガ283号より)
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