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東日本大震災後の後処理で、東京電力がマスメディアに叩かれ、国民から非難の声が上がっている。

典型的な事例が、ふたつある。

ひとつは、

◇分厚い賠償請求申請書

もうひとつは

◇企業向け電気料金の4/1からの平均約17%の値上げ

である。

前者は、ご存知の方も多いように、20119月に東京電力が約6万世帯に向けて個人の損害賠償請求書など書類一式を発送したが、「申請書類の記載方法が非常にわかり難く、分量も尋常じゃないほど多く、しかも合意書の内容がとっても高圧的な表現」として、被害者世帯から「怒り心頭」の声が噴出したのだ。

この時は、東京電力が「申請書のハードルをあげて書く気を無くさせるようなつもりは決してない」と釈明していた。

また後者については、東京電力は、福島第一原発の事故を起こしたため、原発の代わりに火力発電を使うこととなり、その燃料費がかさんでいるため、対象となる約24万事業所に、201241日から(各事業所の契約満了月とともに)平均17%の値上げになることを通知した。

しかし、その通知書には「同意を得られない場合は契約更新まで旧料金を適用する」旨の説明がなく「そのことを黙って通知すれば値上げを自動的に同意したこと」になることが分かっていて、わざと説明書に書いていなかったのではないか、と批判されている。

その結果、現在、対象約24万事業所のうち、値上げに合意した事業所は約1割強の3万事業所だけなのだと言う。

また、ワイドショーが報じるところによると、料金値上げについて問い合わせてきた事業者に対して「値上げに応じたくなければ、いつでも電気を止めますよ。電力供給の自由化によりウチ以外からでも電気は買える(現実的には東京電力以外の電力会社の供給量は限られていて無理)んですから・・・」と非常に高飛車な対応をしているという。

これらの事例にみられる「キツネとタヌキの化かし合い」のような東京電力の行動は、「被害者世帯や値上げ対象事業所の立場」で捉えれば、「酷い話」である。

しかし、客観的にこの事例を捉えれば、東京電力の対応方法は、裏を返せば「民間企業」であれば、ある意味当たり前の行為である。

「民間企業」の最終目的は「利潤の追求」である。

「顧客満足」とか「企業活動を実施する上でのコンプライアンスや社会貢献」というのは、「利潤を健全かつ最適に企業が追求する上での考え方の柱となる手段」であり、あくまでも最終目的は「利潤の追求」なのだから、「自分達が1円でも得する方法」を行動として選択するのは「民間企業のビジネスマンとしての反射神経」として染みついているものである。


したがって、そもそも「損害賠償請求の窓口」は、国が主導して「別の組織に任せる」べきだし、「電力料金値上げ」に関しても、国がなんらかの措置を講じるべきものなのだと思う。

変な話、国は、

◇被災された方の面倒

◇東京電力の経営形態

について、一民間企業である東京電力に「自分で考えてなんとかしろ」と逃げたわけです。

東京電力の立場で考えれば、

◇原子力関連の法律を守り、国が定めた指針通り原発を運用していた

◇民間企業が倒産しないためには、料金値上げもやむを得ない

と、当然考えるでしょう。

つまり、給料が世間の平均年収よりかなり高額で、リストラもまだまだ進んでいない現状から、「世間の怒り」が東京電力に向くことも当然ではあるが、本来、怒りの矛先は「国」に向けるべきなのだ。

『原発は危ないから反対。でも電力は必要だから停止していた火力発電をフル稼働して電気を安定的に供給して欲しい』と私たちが「一民間企業に望む」のであれば、「わかりました。その代わり料金を値上げさせていただきます」と東京電力がいうのは民間企業としては当然の理屈だ。

だから、東日本大震災における未曾有の被害に対する「原発関連の賠償」と「社会インフラである電力会社の経営」について国が主導すべきなのだ。

誰もが「現状、電力が安定供給されなくなったら困る、でも原発の稼働は安全面で怖いから嫌だ」と思う。

しかし、「電力は安定して供給して欲しいし、しかも電力料金はそのままで、かつ、原発以外の方法で!!」なんて、冷静に考えれば「矛盾とわがままの塊」だ。

したがって、公的資金を投入する代わりに、「急激なリストラや給与体系の大幅な見直し」や「被害者対応」を国がやるべきなのだ。

「公的資金投入なんてもってのほか、東電は民間企業として自分で始末しろ」というならなにも手を打たずに最終的に倒産して東電管轄地区が「まっ暗闇」となるか、今回の事業者向け料金値上げのように「経営自主再建策」を立てて「零細企業に対してむごい、酷い」と言われながらもやるしかない。

事例に挙げたような「被害者対策」や「事業者向け料金値上げ」に関して世間から「東電はとんでもない企業だ」とマスメディアは騒ぎ立てると、国は国民に対して正義の味方のごとく「東電に対してもっと誠実に対応しなさい」と勧告する・・・、というような構図になる。

しかし、本来、私たちは、

『国は、事実上独占企業体であり、かつ、社会インフラである東京電力会社が今回のような災害により自立運営が困難となった場合のどうするべきかの方向性を示していないこと』

が最大の問題であることを理解するべきなのである。

「誰かをバッシングしたくなる気持」は、このような状況下において国民感情として当然なのかもしれないが、ここは冷静になって「問題の本質」を捉え、「多くの国民にとって最適な対策のコンセンサス」を図っていくべきだ。

一民間企業である東電のみをバッシングしたって、疲弊して東電が潰れるだけで、そうなると、補償問題はすらきちんと進まず、さらなる国民負担が増えるだけであることを私たちは理解した上で、主張や議論をするべきだ。

そうでなければ、日本人は、「現状を省みずに権利ばかりを要求するおとなになっていない単なるわがままな人たち」になり下がってしまうであろう。

(※ 自分を変える“気づき”ロジカル・シンキングのススメ メルマガ274号より)


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