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大学生の頃に「愛に生きる-才能は生まれつきでない」(講談社新書-1966年 鈴木慎一著)に出会ってその内容に関心を持った。

ご存知の方も多いと思うが、鈴木氏は、ヴァイオリニストで「スズキメソッド」の創始者、そして世界的な音楽教育家であり、教育学の理論家として有名な方である。


鈴木氏の教育に関する思想を端的に表現すれば、

『一般的にイメージされる「天才 」というものを否定し、子供の才能は大人や環境に与えられて作り出されるものである。そして、「神童 」は生まれつき神童という存在であるはずがなく、神童になるべく教育されて作り出されもの』

と主張したのだ。


鈴木氏の場合は、それを「ヴァイオリン教育」で気づき、実践し、理論付けしていったのだ。

つまり、

『人間誰もが母国語に長けている。つまり、子供が母国語を覚えるようにヴァイオリンを覚えさせれば、誰でもヴァイオリンが上手くなれる』

というのがスズキメソッドの基本的な原点である。


当時、大学生であった「平凡な私」には「才能は環境によって作り出されるものであって、誰でも天才に成れる」という鈴木氏の教育論はとても新鮮で、福音に映った。

「スズキメソッド」の考え方に出会ってから、約20数年。その後の社会経験を含めて振り返ってみると、スズキメソッドの良い点は、

◇優れた手本を繰り返し見せる

(ヴァイオリンの場合は優れた演奏家のCDを繰り返し聞かせる)

◇子供がやる気になるまでレッスンは見学のみ

(レッスンに通っているうちに友達ができ通いたくなる動機付けにもなる)

◇子供の親にも習わせる

(親はヴァイオリンの習熟の難しさや初心者の壁を理解する。そして子供は親の真似をしたがる)

◇耳で聴いた音を忠実に再現する

(楽譜は基本的に使わない。あくまでも補助的なもの)

要は、子供が「やりたい!」という気持ちにさせる「動機付け」と、上達するために悪戦苦闘する過程を「理解できる親(教師)」の存在という点を重視していることです。

この点については、「社員教育」をするプロセスにおいても使える概念だと実感しています。


話題は少し変わりますが、お正月番組を見ていたらフジテレビ系列で「天才の育て方TV~あなたのお子さんも天才になっちゃうかもスペシャル~」という番組をやっていました。

番組では「10歳のジャズピアニスト」「10桁の掛け算を暗算する10歳の少年」「わずか2日で一席を覚える9歳の落語少年」「世の中の漢字を全て知り尽くした11歳の漢検1級少年」といったスーパーキッズがスタジオに招かれて、「尾木ママ」こと教育評論家の尾木直樹先生が解説を交えていました。

テレビを見ていると「すげー」のひと言です。


ただ、個人的には、「全ての漢字の暗記」や「落語の暗記」などについては、

◇幼少期の記憶能力は大人以上に優れている

◇日常生活に必要な記憶は意識せずとも使い続けから忘れないが、不必要な記憶は反復し続けないと忘れる

◇天才とは、今まで無かった理論や方法がひらめき、発見できる人である

といった観点から、「子供の頃はすごかったのにな」にならないか、ちょっと心配ではある。

つまり、「単に真似る」能力は、幼少期の方が優れているわけで、「独創的なアイディア」を生み出す「天才」に育てる過程においては、「幼少期のパフォーマンスの高さ」はあまりその後の人生において絶対的な価値基準にならない気がするからです。


またまた、話は少し逸れますが、年末のテレビで「日本NO.1の頭脳王 大決定戦」という番組を見た。

「頭脳王」での多くの問題は、記憶力を問うものが多かったが、決勝に残った東大と京大の医学部の学生さんに司会者が「どうしてそんなに覚えられるんですか?」と聞いたら「一度覚えたことを忘れないだけです」と答えていた。


この回答は、レベルは全然違うが、私も共感できるところがある。

私は、比較的、「人の名前と生年月日、血液型」を覚えている方だ。

友人・知人と話していると「よく知っているよね?」とびっくりされるが、私としては「みんなと情報量は一緒、単に忘れていないだけ」と思っている。

そうはいっても、「日常的に不必要な情報」は「忘れる」のが普通だろう。

たぶん、

◇みんなから「生年月日などを知っているはず」と期待されている

◇相手の情報を覚えていることで、コミュニケーションが取りやすい

という興味・・・「動機づけ」があるから、私の場合、その相手のことが頭に浮かんだ時に併せて「生年月日など知り得た情報を知らず知らずのうちに反芻して記憶の確認と定着」をしているのだろう。

おそらく、「頭脳王」で決勝に残ったふたりも、そういった「動機づけと習慣」が日常的になっているに違いない。


ただ、「頭脳王」のゲストだったお笑いコンビのロザンの宇治原氏(京都大学卒業)は、知能指数が150を超えているという。

きっと、決勝に残ったふたりも約95%の人が収まる「70130」ではなく、130以上あるのだろう。

つまり『能力』とは、「動機づけ」「生活習慣」など、その人をとりまく「環境」に影響され、左右される面は大きいが、最終的には、「そういった環境が同じだとしたら知能指数が高い方が、能力が高い」ことになってしまうのではないだろうか。

ちなみに、知能指数は、環境によって多少は伸びるが大きく(30以上)伸びることはなく、遺伝的な要素が強いのだと言う。


悲しいが、自らが凡人だとわかったら、「勝てる土俵」を見つけるしかない。

つまり、「軽自動車でスポーツカーに勝つ」ためには、「高速道路で争ったら勝てっこないわけで、狭い路地裏を走る競争」などに主戦場を移すしかないのであろう。

(※ 自分を変える“気づき”ロジカル・シンキングのススメ メルマガ262号より)



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