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「あわや破談」という憶測も出た「北海道日本ハムのダルビッシュ有投手」の「ポスティングシステムによるメジャー移籍(レンジャーズ)」の契約がまとまった。
松井秀喜選手の代理人なども務めるアーン・テレム氏とともにダルビッシュ投手の代理人を務めた団野村氏によると、契約書の合意が成立したのは交渉期限のわずか3分前(アメリカ中部時間の1月18日午後3時57分(日本時間19日午前6時57分)だったという。
一般論として、こうした交渉が期限ぎりぎりまでもつれるのは、「なんとかして、できるだけ相手から少しでも良い条件を引き出したい」と双方がめちゃくちゃに粘っているからだ。
逆に「粘らない」交渉とは、
◆双方の「争点」に対する一致点がすでにほぼ明確になって合意している
◆どちらか一方が、実は、相当不利な条件で合意している
場合である。
したがって、今回のダルビッシュ投手のような「交渉」において「交渉人(テレム氏と団野村氏)」は、一般的には、次のようなステップを取る必要がある。
つまり、
a)相手の真意を見つけ出す
b)自分と一致する点、一致しない点を識別する
c)合意点を探す
である。
また「交渉するときに頭に入れておかなければならないポイント」は、
(1)交渉者の数
(2)交渉者の意思決定権
(3)争点の数
(4)交渉者の力関係
である。
今回のケースでいえば、ポイントは「争点の数と内容」である。
つまり、
◇契約年数
(ダルビッシュ側は5年、レンジャーズ側は6年→最終的には6年)
◇FA権取得までの年数
(ダルビッシュ側は5年、レンジャーズ側は6年→最終的には条件を満たせば5年)
◇年俸総額
(ダルブッシュ側は7500万ドル、レンジャーズ側は5400万ドル→最終的には6000万ドル)
の3点が主たる「争点」である。
したがって、「出来高契約」「個人トレーナー」、「通訳」、「ケガの補償」、「滞在費」「日米の移動費」といったものは主たる争点ではないから、「主たる争点」を交渉する「駒」としての付帯条件である。
各メディアの情報によると、上記3点の争点は、双方とも交渉最終日まで一歩も譲らず、動きがあったのは、ダルビッシュ側が「契約年数6年」を「条件付きFA権取得までの年数5年」と引き換えに、まずは飲んだらしい。
すると、レンジャーズ側が、年俸面で歩み寄って、「その他の付帯条件」を詰めて「最終合意」となったらしい。
しかし、「本来であればダルビッシュ投手の年俸はもっと高額交渉ができたはず」である。
それが出来なかったのは、やはり「現在のポスティングシステムが当事者である選手にとって不利な制度」だからだ。
現在のポスティングシステムでは、「入札最高額で落札した独占交渉権を得た球団」とのみ交渉できる。
つまり、この時点で「絶対にメジャーに行きたい選手」にとっては、相手から「すでに足元を見られている」のだ。
要は「なんだかんだブラフ(脅し)を言ったって、メジャーに来たいんでしょ。数年後のFA移籍では年齢的に市場価値が下がるし・・・」と相手に選手側の「真意」を見透かされている。
これが、例えば、「入札金額上位2球団、あるいは3球団と交渉できる」ということであれば、先に挙げた「交渉のプロセス」でいえば「交渉者の数」が複数になるから、選手側の代理人からすれば「相手が落とし所とみている腹の探り合い」を他の交渉相手を引き合いにしながら「ギリギリの交渉」をすることができる。
しかし、現状では、「独占交渉権を得た球団」とのみの「腹の探り合い」だから、「相手の真意、落とし所」がバレバレだから、交渉は、選手側にとって不利な駆け引きである。
つまり、今回のダルビッシュ投手の例でいえば、レンジャーズ側は「ダルビッシュはメジャーに行きたいのだから年俸に関しては一歩も引かずとも交渉可能」と最初から踏んでいたのだ。
このように「不利な状況」での交渉だから、さすがの百戦錬磨のタフネゴシエイターであるテレム氏と団野村氏も「難しい交渉だった」と振り返ったのだろう。
それにしても、現在の「ポスティングシステム」は「大リーグ移籍を望む選手」にとっては不利である。
獲得する側からすれば「入札金額プラス選手への年俸」が「獲得予算」だから、年俸はすでにその時点で実力以上に低く抑えられてしまう。
それにしても、40億円を超える入札金額を得た北海道日本ハムは、この資金をどのように使うのであろう。
ダルビッシュ投手の抜けたファイターズの戦力と人気を埋めるべく有効に活用して欲しいと思う。
(※ 自分を変える“気づき”ロジカル・シンキングのススメ メルマガ264号より)
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