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従業員が20人弱で、創業から30年近くになる機械装置を設計・製造しているある小規模組織に訪問した時のこと。
その企業は、以下のような状況だった。
◇創業当時の従業員は、他の製造メーカーに勤務していた定年退職後の社員ばかり
◇社員の人件費は抑えられたが、50代後半以降の社員ばかりなので勤続年数は短い
◇そのため、職人気質社風となり、技術伝承は「見て覚えろ」が基本的な社風
(“伝説”と呼ばれる作業方法がたくさん存在)
◇同じ工程でも、担当する人によってやり方はバラバラ
◇20代後半から30~40代前半の中途採用者を採用し始めたのは、ここ10数年
◇給与水準は同種の業態、企業規模と比較して低くなく、むしろ高い方
◇従業員の定着率は低い
◇自分が担当している工程の前後の工程に関心が低い社員ばかり
◇製造している機械装置はライバル企業が少ないニッチ産業
◇そのためリードタイム(受注から引き渡しまでの期間)を長めに設定できる
◇生産計画が立てやすい
・・・などなど
上記のような状況だったので、創業者グループから経営を任された現経営者は、
◇業務ノウハウが会社に蓄積していける体制の構築を目指した
◇他の仕事を担当できるようにジョブローテーション始めた
◇改善提案が出やすく、みんなで話し合いができる場を設けた
といった対策をとった。
しかし、
◇「自分の仕事」と決め付けたこと以外、あまりやらない
◇自工程について改善提案を出すと仕事量が減ると考え提案しない
◇他の工程の提案をすると自分の工程も他の人に提案されるので提案しない
◇仕事に余裕がある日は、仕事のスピードを落として、翌日の仕事にする
◇稼ぐべき残業代に必要な残業時間でやる仕事をわざと作る
と言う状況が生じていた。
私の経験では、こういった組織では、「従業員への注意喚起」や「“業務改善!”を業務方針として掲げる」ことをしても、掛け声だけに終わって、あまり変わらない。
挙句の果ては、
【デキる人に仕事が集中してオーバーフローする】
【「できる仕事」を増やさない方が「効率的に給与」をもらうことができる】
【繁忙期は、仕事をこなすのが面倒になると、むやみに外注を増やす】
という状況になる。
したがって、「改善提案の促進とムダな業務の撲滅」を極めて健全かつ着実に実施したいのであれば、
◆顧客体面上、役職は与えても、権限はほぼ、社長と役員だけにする
(工程責任者に任せていた「決定や判断、指示」といった権限を吸い上げる)
◆役員(部門責任者)以外の職員は、所属部門を原則作らない
◆部門責任者以外は、原則「なんでも屋」とする
◆各工程の「標準業務時間」を設定する
◆1ヶ月単位の生産計画を立て、理論上、業務に必要なトータル所要工数を算出
◆理論上、職員が従事できるトータル業務工数を算出する
◆ムリ・ムダが生じる作業工程は外注に発注する
◆トータル所要工数をどう実施するか担当業務を割り振る
◆各人に「複数の担当工程」を作り、その業務比率を明確にする
◆各工程の「リーダー」と「メンバー」を毎月計画し生産計画とともに発表する
◆リーダーとメンバーは業務量、能力、教育的見地などを勘案して毎月見直す
◆よい管理ができたリーダーにはモチベーションアップのための査定をする
◆各工程の役割以外の管理業務は部門責任者の業務とする
(例:苦情対応、不適合品管理、教育計画、設備計画、工程トラブル対応など)
といったシステムに組織の体制や業務方式を見直す必要がある。
上記に挙げたようなマネジメントシステム構築を目指すと、
■業務が標準化される
■仕事のノウハウが社に蓄積されだす
(各自の頭の中だけに合ったノウハウが業務フロー、手順書などとして見える化する)
■改善提案が出やすくなる
■サボり業務、ゆっくり業務、業務ミスなど「ムダな業務」が減る
■業務効率が上がる
といった効果をもたらす。
組織マネジメントの基本は、組織を「部門」に分け、「役割」を明確にすることだ。
しかし、小規模組織で、下手に「部門」と「役割」を明確にすると「部門業務と与えられた担当主業務しかやらない」人が増える。
欧米のような「狩猟民族」を文化的背景とする場合は、「狩りをする人」「獣の皮をはぐ人」「肉をさばく人」「料理する人」「肉を売ってお金に変える人」と仕事を分化させることが効率的だ。
しかし、小規模組織においては、「農耕民族」のように「みんながなんでも屋となって田植え、草取り、刈り取り、乾燥、脱穀を実施」できる組織づくりをする方が、仕事のノウハウが蓄積され、その結果としてムリ・ムダ・ムラ業務が減少し、効率的に仕事が回る場合があるのである。
(※ 自分を変える“気づき”ロジカル・シンキングのススメ メルマガ206号より)
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