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若干、旧聞に属する話であるが、2011715日に、「懲戒呼び掛けは不法行為に当たらない」と判断した最高裁判決があった。

この裁判は、記憶に残っている人も多いと思うが、20075月の橋下徹弁護士(現大阪府知事)が知事就任前に「たかじんのそこまで言って委員会」で「山口県光市母子殺害事件の被告弁護団に対する懲戒請求」を呼び掛けたことに対して、弁護団メンバーら4人が損害賠償を求めた訴訟である。



この訴訟を軽く振りかえると、



1審】

200810月の広島地裁判決では、「発言の一部は名誉毀損に当たり、懲戒請求の呼び掛けも不法行為になる」と判断して800万円の賠償を橋下氏に命じた

2審】

20097月の広島高裁判決では名誉毀損を否定し、懲戒請求の呼び掛けに限って360万円の賠償を命じた

【最高裁(3審)】

20117月の最高裁第2小法廷(竹内行夫裁判長)の判決では、

◇「慎重な配慮を欠いた軽率な行為で、言葉遣いも不適切だった」と橋下氏を批判

◇(懲戒請求の呼びかけは)表現行為の一環に過ぎず、視聴者自身の判断に基づく行動を促したに過ぎない

◇(懲戒請求が殺到して)弁護団に一定の負担はあったが、弁護士業務に多大な支障が生じたとは言えない

◇弁護団側の精神的苦痛は受忍限度を超えていない

と結論付け、2審判決を棄却した



という流れになる。



私は、この訴訟のきっかけとなる橋下弁護士の発言をテレビ番組(たかじんのそこまで言って委員会)で、たまたま見ていた。

この時の感想は、「へぇ~、弁護士資格って国家資格なのに、懲戒処分(戒告、業務停止、退会命令、除名の4種類)は、弁護士会自身が実施する“弁護士自治”の原則があるんだぁ」と、驚いた記憶がある。



懲戒請求について調べてみると、

2010年 1849件(80人が処分を受ける)

2009年 1402

2008年 1596

2007年 9585

2006年 1367

と橋下氏がテレビ番組で呼び掛けた2007年の懲戒請求件数が突出して多い。


光市母子殺害事件の被告弁護団4人には、約2500件の懲戒請求が寄せられたと言うから、2007年の突出した懲戒請求件数は、「光市母子殺害事件の被告弁護団以外の弁護士に対する懲戒請求件数」も非常に多かった年であり、その背景には「橋下氏発言」が影響していたのかもしれない。



「弁護士自治」の背景には、行政庁である「法務省」に弁護士の監督権を持たせると、対立する検事や裁判所の請求によって弁護士の懲戒がなされるという過去の歴史的な反省に基づき昭和24年に弁護士法で定められたのだと言う。

ただ、そのような「自治権」を弁護士会は有するため事務コストが掛かるためか、弁護士会費は、一般庶民感覚からすると非常に高額である。



ブログ「黒猫のつぶやき」の201036日の記事「なぜ弁護士会の会費は世界一高いのか?」http://blog.goo.ne.jp/9605-sak/e/deef7e0900d166915c588f1d710a2f30

によると、東京弁護士会に所属している弁護士の場合(平成21年度)、

◇合計年額 569500

(東京弁護士会費222000円、日弁連会費168000円、日弁連特別会費59500円、新会館臨時会費12万円)

にも上るそうだ。



懲戒請求案件がべらぼうに増加すると「綱紀委員会」(審査すべき案件か?)、「懲戒委員会」(処分すべき事案か?)をフル稼働させなければならなく、事務作業負担は計り知れない量になるだろうな、と想像できる。

しかし、素人目線では「弁護士自治」によって、高額な会費と引き換えに、弁護士の権利と信頼性が担保されていると思う。


司法制度改革により、弁護士の年収が二極化しているというニュースをよく耳にする。

それが現実だとすれば、弁護士登録のために必要な年会費は、低所得弁護士にとっては、キツイ負担になっているんだろう、と思う。

(※ 自分を変える“気づき”ロジカル・シンキングのススメ メルマガ238号より)


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