【よかったらメルマガ読者登録お願いします♪】↓
(パソコンでアクセスしている方)
http://www.mag2.com/m/0000218071.html
(携帯でアクセスしている方)
http://mobile.mag2.com/mm/0000218071.html
2011年7月6日の夜に九州電力の眞部利應社長が、「緊急謝罪会見」を実施した。
この緊急謝罪会見を実施するにいたった理由は「やらせメール」である。
7月6日付の毎日新聞の記事によると、
【佐賀県の玄海原子力発電所の2、3号機の運転再開の是非を問うため、経済産業省が6月26日にケーブルテレビで放送した県民向け説明番組において、九州電力原子力発電本部の課長級社員が4つの子会社宛に、再開を支持する電子メールを投稿するよう依頼していた】
のである。
「世論」の反応を判断する上で、貴重な情報となる「ケーブルテレビ局へのメール投稿」が「利害関係者からの、やらせ投稿メール」となると、これでは、まったく「公平性を欠く」ことになる。
記者会見では、眞部社長は企業トップとしての責任を認めていた。
記者が「指示したのか? 自身の進退についてはどうするのか?」と質問されると、「ノーコメント、発言を控えたい」と答えていた。
例によって、「謝罪会見で表明すべきこと」を『社長限界でしょ』でチェックしてみる。
◇「しゃ」(被害者への謝罪)
会見では、「心からおわび申し上げる。責任は最終的に私が取る」と世間を騒がせたことに対して、陳謝していた。
とりあえずは及第点と評価したい。
◇「ちょう」(調査結果の報告)
会見では、
→九電社員が番組放送4日前の6月22日に「西日本プラント工業」「九電産業」「西日本技術開発」「ニシム電子工業」の4つの子会社の社員4人に「発電再開容認の一国民の立場から、県民の共感を得るような意見や質問を発信してほしい」とメールで依頼した
→九電社内に対して「玄海原発、川内原発、川内原子力総合事務所」の3部署の中堅社員3人に同様のメールを「九電関係者と分からないよう、自宅などのパソコンからアクセスするよう指示」をしていた
→子会社側から番組に何通の「やらせメール」が届き、紹介されたかは把握していない
→子会社の社員は約2300人で、番組中にメールが473件、ファクスが116件寄せられ、このうち11通が読み上げられ、再開容認の意見は4通含まれていた
ことを報告していた。
こちらも、及第点である。
◇「げん」(原因の明示)
今回の「やらせメール」の原因については、残念ながら、会見で社長から語られることはなかった。
◇「かい」(改善策の提示)
「やらせメール」の原因について、語られていないので、当然、改善策も示されていない。
◇「しょ」(処分・賠償)
誰が指示したのか?について「ノーコメント」を繰り返しており、当然、どのような処分をするのかについては、示されていなかった。
また、「全責任は社長」と認めたことに対して、「進退まで問われる事かどうか。国とも話し合いたい」と回答していた。
このように振り返ってみると、謝罪会見としては、「不十分なもの」である。
基本的に会見では「責任は私です、ごめんなさい」と「やらせメールの調査結果」だけしか語っておらず、「事の重大さ」と「番組視聴者や原発所在地の自治体住民、九州電力管内の利用者、そして国民に対して、どのように組織として信頼回復を図っていくのか」が方向性を含めて全く語られていなかった。
したがって、「事の重大性の認識」や「誠意」があまり感じられないものになってしまった。
しかも、会見途中に社長にメモが渡されると、「社長の指示の有無」について「ノーコメント」を繰り返していたのに、急転直下「社長からの指示でなかったことは、この場で表明します」と回答したことはマイナスだった。
つまり、会見を見ていた国民に対して、「組織のトップである社長に責任がある」とはっきり表明していた割には、「社長は、誰かの指示で行動していて、まったくリーダーシップがない」との印象を与えてしまった。
九州電力に限らず、電力各社が、今、真っ先に取り組むべき課題は「国民に対する信頼」である。
「大震災を通じて、今の安全基準では不十分な面があることがわかった。したがって、このような方向で原発の安全性を確保し、稼動することとしたい」と国民に明確に表明すべきなのに、「誤魔化しをすること」で稼動の継続、あるいは、再稼動させようとしている。
今回の「やらせメールに関する謝罪会見」が与えた影響はかなり大きい。
それは、電力会社の経営者の発想が、まるで「今回の東北地方太平洋沖地震のような地震と地震による津波は、今後100年は発生しないだろうから、余計な安全対策や設備投資をさせないでくれよ。東北で被災した人は、不運と思って諦めてくれ」と考えているように、多くの国民には映っただろう。
それにしても、九州電力という大会社でさえも、「謝罪会見」は基本ルールが守られていなかった。
電力会社とは、「災害の想定と対応手順の見直し」はもちろん、「謝罪会見が世間に与える影響の想定と対応」も甘く、危機管理がまるでできていない事に、ただ、呆れてしまうのである。
(※ 自分を変える“気づき”ロジカル・シンキングのススメ メルマガ236号より)
【よかったらメルマガ読者登録お願いします♪】↓
(パソコンでアクセスしている方)
http://www.mag2.com/m/0000218071.html
(携帯でアクセスしている方)
http://mobile.mag2.com/mm/0000218071.html