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2011617日の記者会見で、「東京電力福島原子力発電所における事故調査・検証委員会」の東京大学名誉教授の畑村洋太郎委員長が、興味深い発言をしていた。

それは、「事故調査・検証委員会では、責任追及を目的とせず原因究明をすること」と明言したことだ。


これは、事故調査・検証委員会の「畑村委員長方針」とも言えるだろう。

畑村先生は、「多くの失敗から得た知見を次に活かす『失敗学』」の提唱者として世界的に有名である。

失敗学の目的は、「同じような失敗を繰り返さない」あるいは「失敗から得られた情報を基にリスク発生を未然に防止すること」である。

このことを効果的に成功裏に導くためには、当たり前のことであるが「失敗の真の原因を究明すること」がとても重要な事となる。


では、「失敗の真の原因を究明すること」に大事なことは何か?

それは、畑村先生が示した委員長方針でも示した「責任追及」と「原因追究」を分けて議論することである。

最初から「責任追及ありき」であると、関係者は、自分に責任が及ぶことを恐れ、失敗した経緯や背景など詳細のプロセスについて、言いわけや曖昧な回答をすることになる。


このことは、会社組織でも同じことが言えて、例えば、顧客から製品に対する苦情を受けつけた場合、「設計担当者の責任」、「製造担当者の責任」「営業担当者の責任」といったように「責任追及偏重」の調査を実施すると「苦情に至った真の原因究明」ができなくなる恐れがある。

企業活動において、苦情を申し出た顧客に対して適切な対応を取ることも、もちろん重要なことではあるが、もっと大事なことは、同じような苦情の発生を繰り返さないことである。

苦情を繰り返さないためには、苦情の原因となった問題を「組織の業務プロセスやシステム上の欠陥」と捉えることが必要だ。

つまり、責任追及だけでは、組織的な業務改善は望めないわけである。


話しを、事故調査・検証委員会に戻せば、「委員長方針の表明」は、責任追及論は、捜査権のある警察や検察、原因追及論は検証委員会である、という委員会の位置付けを畑村委員長はあらためて明確にしたといえるだろう。


その他に、畑村委員長の記者会見の発言で注目したのは、

◇事故原因を技術的問題だけではなく組織的問題として捉える

◇素人目線での検証

◇三現主義の実践

である。


「技術的問題だけではなく組織的問題」と畑村委員長が発言したのは、例えば、原子炉への海水注入問題などで政府と東京電力の対応が二転三転した「情報共有」など情報伝達プロセスの不備に着目しているからだろう。

さらに、発電所のリスク管理についても、「原子力村の専門家」だけでは、「見落としている視点が必ずある」という「素人目線での検証」にも期待したい。


また、失敗学をはじめとした、再発防止・未然防止の世界では、問題が発生した場合は、机上の議論だけではなく「現場・現物・現実」の三つの現を重視することが大原則である。

畑村委員長は、この点も、6月中に福島第一原子発電所の現地視察を表明した。


畑村委員長の『国民や世界の人々が持っている疑問に答え、100年後の評価にも耐えられるものにしたい』、『「嘘をつけば罰する」より、「後の時代からの評価に耐える中身に協力してください」という方がはるかに強い力を持つ』という記者会見での言葉が印象的である。

事故調査・検証委員会の調査状況に注目していきたい。

(※ 自分を変える“気づき”ロジカル・シンキングのススメ メルマガ232号より)



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