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2011年4月29日に、富山県砺波市の「焼肉酒家えびす」砺波店で、ユッケを食べた6歳の男児が腸管出血性大腸菌「O111」に感染し、死亡した。
この生肉に関する食中毒事件は、生肉を提供する多くの飲食店の特性として「提供する生肉自体の細菌検査を実施して合格品を食べさせているわけではない」から、店側の生肉の購入から提供までの業務プロセスの妥当性確認が不十分だったケースといえるだろう。
各メディアの報道によると、「焼肉酒家えびす」では、ユッケ用の生肉を東京都板橋区の食肉販売業者から仕入れていた。
しかし、この肉は「加熱用」の肉で、「加熱用の肉にアルコールで表面を殺菌し、真空パックに入れる納入仕様」で生肉を購入していたのだ。
生肉の衛生基準に関しては、1998年に厚生労働省が「生食用食肉の衛生基準」を設けている。
しかし、「国が食べ物の嗜好を禁止することはできない」という理由から、この基準は強制力や罰則規定がない。
また、現実問題として、牛の肉について、この厚生労働省の基準を満たし「生肉用」として出荷された実績もここ数年ないそうである。
この「厚労省の基準を満たした生肉用牛肉」が出荷された実績が無いことから、私たちが日常食べている生肉は、すべて「加熱用」となるわけだが、マスメディアやコメンテイターの多くは「加熱用=生食では危険な肉」として喧伝し始めているが、それは、ちょっと早急な論調である。
そもそも、「厚労省の生肉基準」は、「細菌による食中毒が確実に発生しない基準」である。
いい方を変えれば、「他の方法論でもほぼ安全な生肉を客に提供すること」はできるのだ。
しかし、厚労省が基準を定める場合は「ほぼ安全」では国に責任が生じてダメである。
その結果、「100%安全な生肉基準」を設けたために、その基準をクリアしない肉は、すべて「生肉用」と表示できないだけの話である。
この「加熱用=危険」という「誤解」を大きくしたのは、消費者担当・食品安全担当大臣である蓮舫氏であろう。
蓮舫大臣が「加熱用の肉でないことをお店に確認してから食べてください」と注意喚起したから「加熱用=危険」という国民の認識になったのだ。
しかし、馬刺し以外、現在の日本では生肉用が流通していないのだから、蓮舫大臣の注意喚起は「食べるな!」と言っているのと一緒だ。
国としては、「業界基準やお店の自主管理基準を確認して自己責任で食べてください」とは言えないから、このような表現で注意喚起しているのだろうけれど、「事実上ほぼ安全な生肉提供業者の生肉も食べるな」と言っているわけで、混乱の元である。
また、今回の食中毒の原因が「ユッケ」だったことから「ユッケ=危険な食品」というレッテルが貼られているが、これも早合点な論調である。
「ユッケ」には内臓は使用されていないのが通例であり、精肉過程で、内臓の加工とその他の部位をきちんと分けていれば、細菌リスクはほぼない。
全国焼肉協会が平成20年9月にまとめた「ユッケ等生食料理の衛生管理」では、「生肉用」が現実問題として流通していないが、「加熱用肉」であっても、お店の管理方法によっては「ユッケ」は「リスクゼロに近づけることができる」という見解を示し、製造マニュアルも示している。
(ちなみに、「レバ刺し」は「リスクゼロには到達できない」との見解を示している)
つまり何が言いたいかと言えば「ユッケ=危険な食品」という認識は誤りであり、また、今回の食中毒の原因が「加熱用を業界慣習として客に提供していたことが問題」というすり替えになっているが、これも誤りなのである。
したがって、食中毒問題の原因は「店が肉の仕入れ段階を含める提供過程までの製造プロセスの管理が不十分だったこと」なのである。
政府の方向性としては「厚労省の生食用生肉のガイドライン違反の罰則強化」や「原則的に生肉は食べない事」といった今後の対策が検討されているようであるが、考え方としては、間違った対策である。
現状のガイドラインは、国として「100%食中毒を引き起こさない加工方法」であって、経済的合理性を考えたら、妥当ではない。
まず厚労省がすべきなのは、焼肉協会が示しているような水準の「生食用生肉のガイドライン」を出すべきである。
そして、そのガイドラインに基づく「適合証明」を保健所などに出してもらい、消費者は、その「適合証明」を「生食を食べてもほぼ大丈夫なお店」と判断する目安にすればよいのだ。
そして、適合証明がないお店で食べる場合は、それこそ「お店と客の信頼関係に基づき自己責任で!」とすればよいのだ。
なんでもかんでも、単純に「罰則強化、規制強化」すればよいものではない。
消費者への判断材料を明確にして、自分自身で判断させるようにすべきなのだ。
そのようなわけで、本質的な対策としては、消費者に生肉を提供するお店は、「加熱用の肉ではあるが、食べても食中毒を引き起こすことなない」と確実にいえる精肉プロセスから提供するまでの自主基準を明確に定め、常にその信頼性をチェックする必要があるのだ。
このように、サービスの特性や商慣習上、提供するサービスが問題ないか否かは、サービス提供後でないと厳密にはわからないことが多々ある。
しかし、それでは「問題解決はすべて問題発生後の事後対策」となってしまう。
したがって、「業務プロセスは信頼性があるか」を常に確認して改善することが必要なのである。
(※ 自分を変える“気づき”ロジカル・シンキングのススメ メルマガ227号より)
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