讀賣テレビ系で放送している「たかじんのそこまで言って委員会」の常連ゲストである東京大学大学院(地震学)の「ロバート・ゲラー教授」が世界的に著名な英国科学誌ネイチャー(電子版)の414日号で「日本政府は不毛な地震予知を即刻やめるべき」などの提言が掲載され話題になっているという。


共同通信の報道によると、ネイチャー誌に掲載されたゲラー教授の提言では、

◇日本政府は不毛な地震予知を即刻やめるべき

◇日本全土が地震の危険にさらされており、特定の地域のリスクを評価できない

◇国民や政府は「想定外」に備えるべき

◇(政府は)地震を予知できないことを国民に率直に伝えるときである

◇(予知の根拠とされる地震の前兆現象は)近代的な測定技術では見つかっていない

◇国内で1979年以降10人以上の死者が出た地震は、予知では確率が低いとされていた地域で発生している

M8クラスの東海・東南海・南海地震を想定した地震予知は、方法論に欠陥がある

◇地震研究は官僚主導ではなく、科学的根拠に基づいて研究者主導で進められるべき

◇政府の地震予知政策の根拠法令となっている大規模地震対策特別措置法は廃止すべき

◇最大38メートルの津波が東北地方を襲ったとされる1896年の明治三陸地震は世界的によく知られており、当然、福島原発も対策されているべきで、『想定外』は論外だ

・・・などと発言しているようだ。


「そこまで言って委員会」では、ゲラー教授は、「ちょっとしゃべり方の面白い外国人のおっちゃん」キャラとして、過激な発言をしても「憎めない人」というポジションだ。

同じ趣旨の発言を、別の人がしていたら、政治評論家の三宅久之氏から、キビシイツッコミとお叱りを浴びせられそうなものであるが、ゲラー教授に対しての三宅先生の風当たりはそんなに強くない。


ちなみに、ゲラー教授が「廃止すべき」と発言した「大規模地震対策特別措置法」は、1978年に制定されている。

目的は、(ウィキペディアより引用)

『大規模な地震 による災害 から国民 生命 、身体及び財産 を保護するため、地震防災対策強化地域の指定、地震観測体制の整備その他地震防災体制の整備に関する事項及び地震防災応急対策その他地震防災に関する事項について特別の措置を定めることにより、地震防災対策の強化を図り、もつて社会の秩序の維持と公共の福祉 の確保に資することを目的として制定された法律

である。


ただ、そもそも「東海地震」を想定して制定された法令で、強化指定地域は、

◇東京都(新島、三宅島など)

◇神奈川県(平塚市、小田原市など)

◇山梨県(甲府市、富士吉田市など)

◇長野県(飯田市、伊那市など)

◇岐阜県(中津川市)

◇静岡県(静岡市、浜松市など)

◇愛知県(名古屋市、豊橋市など)

◇三重県(伊勢市、尾鷲市など)

となっており、記憶に新しい1995年発生の「阪神淡路大震災」や今回発生した「東北地方太平洋沖地震」の被災地は強化指定地域に全く入っていない。

日本の防災行政が、この法令を中心に成り立っているとしたら、ゲラー教授の提言される「廃止」はともかくとして、少なくとも「見直し」をしなければ、まったく意味がなさそうだ。


また、注目されるのは「福島原発事故は防げたか否か」である。

ゲラー教授は、「1896年発生の明治三陸地震では最大38メートルの津波が観測されている」ことから「想定外」と政府や東京電力関係者が発言するのはおかしい、つまり「論外」だという。

このゲラー教授の発言には「激しく同意」である。


私は、「原子力発電は即刻廃止すべき」という意見には同調しない。

理想としては、確かに、

「現在のウランを燃料とした原子力発電に頼らない新しいエネルギー開発を!」

とか

「節電を徹底し、生活習慣を改めて、現在の原子力発電に頼らない世の中に!」

だろう。

しかし、悲しいことに、それらは現実的ではない。

したがって、「原子力発電に頼らざるを得ない限り、人類が経験した自然災害プラスαでシステムを設計し、運転していく」必要があるのだ。


今回の原発事故という結果から、日本の原子力政策や原子力安全のシステム(原子力安全委員会、原子力安全・保安院)は機能を効果的に果たしていなかったといえる。

ゲラー教授ではないが、「単なる組織変更」に終始するのではなく、「なぜ機能しなかったのか」について、原因をきちんと究明すべきだろう。