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やや旧聞に属する話題ではあるが、2011年1月19日付の産経新聞が「京都在住の大学教授が“人体の不思議展”に対して“死体が展示されているため精神的苦痛を受けた”として主催団体を相手に損害賠償を求め京都地裁に提訴した」ニュースが報道されていた。
記事によると、
(記事より概要を抜粋 ここから)
◇提訴された「人体の不思議展」は京都市左京区で1月23日まで開催されていた
◇「人体の不思議展」は、大阪市北区にある人体の不思議展実行委員会が主催
◇提訴したのは、展示会場が開催された京都市勧業館近くに居住する日本科学者会議の生命倫理研究委員会のメンバーでもある京都工芸繊維大学の宗川吉汪名誉教授
◇提訴理由は、2010年12月4日からこの展示会が開催され、“会場に死体が多数あるため、平穏な生活を営む権利を侵害され、多大な精神的苦痛を受けた”ことによる
◇提訴した目的は「展示会が違法状態を世間に訴えること」
◇厚生労働省は「展示されている人体標本は遺体(死体)」との見解で、死体は「死体解剖保存法」では「自治体首長の許可が必要」となるが、展示会場である京都市の市長に「展示会開催時間帯以外に会場に置いておくことに対して許可申請がされておらず、展示会自体が違憲状態で開催されている」と宗川名誉教授は指摘。
◇また、宗川名誉教授は「展示されている奇抜なポーズをとった標本の場合は、死後硬直前に薬品づけにしなくてはならず、死者の尊厳を冒涜している。当初は学術的な要素が強かったが、次第に商業性が強くなり、生命倫理的に非常に問題だ」とも指摘。
(ここまで)
ちなみに、「人体の不思議展」で展示されている「死体に樹脂加工をほどこし、スライスしたものや、さまざまなポーズをとらせたものなどを展示可能にした加工技術」は、グンター・フォン・ハーゲンスというドイツ出身の解剖学者が開発し特許を取得している。
死体を加工する工場は、中国の大連にあり、1995年ごろから世界各地で開催されている。
私も、以前、横浜で開催されていた時に展示会を見に行ったことがあったが、衝撃を受けた。
なんといっても、いままで、「死体の展示」といえば、「剥製」か「ホルマリン液漬け」であり、これらは、「学術的な展示物」・・・もうちょっと別の表現をすれば「死んでいる生き物の標本」であった。
しかし、実物の人の死体に樹脂加工する「プラスティネーション」と言う技術では、逆に「精巧な人体模型ではないだろうか」と思わせるほどのリアリティがある。
しかも、展示されている標本には、表情があり、身体半分の皮をはいで内臓を露出させたものなどもあり、「展示物に触らないでください」と注意書きがあっても、思わず手を伸ばしてみたくなるような、標本も多数あった。
このように、プラスティネーション技術を使った「人体の不思議展」は、開催が始まった1990年代後半頃は、世界的にも評価されていた。
しかし、ネットで情報を検索すると、展示会の評判が高くなるにつれて、展示されている標本のポーズが奇抜な、いわゆる、「学術的な展示物」というより「ショーアップされどんどん商業的」になっていき、「人体の不思議展」に対する批判が高まるようになったようだ。
日本以外では、2009年にフランスで展示会の中止を裁判所が命じた例があると言う。
それにしても、何事でも、「商業的要素が強くなる」と批判の声が高まるようになる。
個人的には、「人間に対する尊厳と人体構造」を一般の人が理解し認識する上で、「人体の不思議展」は意義があると思う。
ただ、商業主義が強くなり、見る人にとって「人体に対する尊厳」よりも「単なる見世物」としての要素が強くなるようでは、社会的な倫理面から見て、問題があるといえるだろう。
主催団体は、死体解剖保存法など展示するにあたっての関連法令や条例、展示に関連する利害関係者との協定書、覚書をチェックする体制、そして、展示する標本に対する自主的ガイドラインを定める、といったマネジメントシステムは確立しているのだろうか?と思う。
これらをチェック、あるいは、定めぬまま「観たい人がいるから開催しているのです」では、「商業主義的で、死者に対する冒とく」と非難されても当然であるだろう。
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