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懇意にしている優秀な編集者から、「東北新幹線の遅延証明書」を事例にした「ISO思考」について、以下のようなメールをいただいたので、そのメールと私が返信した内容を紹介させていただきます。
(いただいたメール ここから)
突然メールにて失礼致しますが、編集部内で話題になったので、専門の先生にご質問です。
メールにて非礼とは存じますが送付します。
本日、東北新幹線がシステムトラブルで全線一時ストップしました。
編集部に打ち合わせに来られる執筆者(Aさん)から聞きましたが、遅延証明書を受け取る人の列が並び、事業再開に支障を来す程だったそうです。
Aさん曰く、
1)遅延証明書に並ぶのだったら一刻も早く別の交通機関で目的地に急ぐべき。
並んでさらに遅くなるなんて本末転倒。
2)ただし、ISO的には遅延証明書を受け取って、確かな証明がなければ、
遅刻してはならない。
3)ISOの矛盾はここにある。客観性を求める為に人に無理を強いている。
だからISOが普及しない。
という意見です。
私は、1)は最もですが、2)の証明書の必要はISOでは求められないのではないか、(遅れはテレビでも放映されているし)と思うのですが、いかがでしょうか?
また、3)も「無理強いしない仕組みに変えれば良いだけじゃないの?」と、思うのですが、コンサルタントとしてはそうはいかないのでしょうか?
有賀先生のご意見を伺いたくメールを申し上げました。
お忙しい中すみません。
ぜひ、ブログのネタにでもご利用下さいませ。
(いただいたメール ここまで)
(メールに返信した内容 ここから)
中略
遅延証明書の件ですが、おっしゃる通りですね。
AさんのISOの捉え方・見方は少々ずれていると思います。
上記1)~3)について、コメントさせていただきます。
上記1)について
⇒「重要な会議」「結婚式やお葬式への出席」であれば、「遅延証明書」をもらうよりも
Aさんのおっしゃる通りで、別の交通機関を選んで目的地に急ぐべきでしょう。
私は、雪や台風による飛行機の遅れ、設備トラブルや人身事故による遅れで、取引先への訪問予定時間を遅れてしまうことがありますが、遅延証明をもらおうとすると時間がかかるので、滅多にもらわず、先を急ぐことを優先しています。
客先からも「遅延証明提出」を求められるようなケースは殆ど皆無です。
上記2)について
⇒この例について、
◇電車で移動する人(Aさん)を「受審組織」
◇遅延証明書の提出先を「審査機関」
として考えると、
一般的に、審査機関は、
「Aさんの遅延証明書がなければ遅刻した正当な理由が不明確なので不適合です」
とは言わないでしょう。
つまり、ご指摘されるように、例えば、
◇「JRが遅れたことを報道するニュース記事」
◇「JRのHPによる遅延情報」
◇「Aさんが移動した経路(自己申告)」
をAさんは審査機関に示せれば、問題はありません。
要は「遅れた理由」が明確であれば、そこに「厳正さ」は必要ないですし、厳正さを求めたところで、リスクはないですし、それにかかる労力(長蛇の列に並んで遅延証明書を取得する)よりも目的地に急ぐことのようが、本質です。
本質を度外視した「必要以上の証明」は、「他のケースとの公正・公平性が求められる場合」でしょう。
つまり、「確かな証明」が必要なケースは、例えば、「今回の東北新幹線の遅れ」に関しては、センター試験の受験生に影響を与え、「交通機関の乱れによる遅刻」は「再試験」や「時間帯をずらして別室での受験」をセンター試験では認めていました。
ニュースでは受験生に対して
「駅で遅延証明書をもらって会場の係員に説明してください」
とアナウンスしていたので、
他の受験生との公正・公平性を期すために、このような場合は、センター試験本部では、「確かな証明」としての「遅延証明書」が必要になるでしょう。
「遅延証明書」を受験生に求めなければ、「不正受験」が発生し、他の受験生との公平性を欠く恐れがあるので、「ちゃんと時間をずらして試験を実施しますから、慌てずに、きちんと遅延証明書をもらってきてください」ということでしょう。
上記3)について
⇒上記2)のコメントと内容的に被りますが、ISO(仮に審査機関とする)では、
「リスクに応じた合理的な客観性」を求めているだけであって、
「リスクを度外視した厳格性のある客観性」は求めていません。
仮に、審査機関が、「遅延証明書」的なものの提示をAさんに必須とするならば、審査機関は「遅延証明書がないと生じるリスク」をAさんに示す必要があるでしょう。
本来の目的のを逸脱(例:遅延証明書の取得のために、さらに目的地への到着が遅れる)した客観性の証明は、業務をする上で、百害あって一利なしですし、まさに「審査で審査員に客観性を示すための過度な記録づくり」となり、それは、「Aさんと今後取引したい会社」にとっても、不要な作業です。
認証制度は「Aさんと取引している、あるいは、取引したい会社への安心感」のために存在するのであって、取引先が望んでもいない客観性のレベルを審査機関が担保する必要はないでしょう。
「ISOの有効性」(ISO思考が職員教育、会社の仕組みづくりに役立つ)とは、
「ISO思考でものごとをとらえることで、この仕事には何が必要で、何が抜けているのか、
そして、どのレベルで管理するのが、効率がよく、リスクも少ないのか」を考えるのに
便利なツールであることです。
コンサルタントや審査員がこの「ISOの有効性」を理解していないと、無意味な管理をアドバイスしたり、要求したりして、それこそ、「ISOマネジメントシステムの普及の阻害」になってしまいますね。
(返信したメール ここまで)
友人である編集者からのメールの事例を聞くと、まだまだ、専門家を含め、「ISO思考」の使い方は有効に世の中で使われていないんだなぁ、と思う次第である。
(※ 自分を変える“気づき”ロジカル・シンキングのススメ メルマガ212号より)
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