東京の新橋にある”街のホームバー”「ちなみ」に約16年ぶりにお邪魔してきました。
このお店には、社会人の駆け出しの頃、会社の先輩に何度も連れてこられました。
しかし、部署の異動と転職を機に、全くお邪魔することがなくなっていました。
人と待ち合わせの時間まで少しあったので、「虎の門でのサラリーマン時代」を懐かしみながらぶらついていると、「ちなみ」の看板を偶然発見!
しかし、なんとなく、様子が違う。
意を決して、ドアを開けると、懐かしい顔のマスターが「前に来られたことがありますよね?」と意外な反応。
わたしは、会社の先輩方に連れて来られていたので、マスターは、「わたしのことなど覚えていないだろう」とタカをくくっていたのですが、仕事柄、覚えてくれていたので、びっくりしました。
詳しくお聞きすると「入店前に、なんとなく違う」と思ったのは正解で、10年ほど前に以前、お店があった場所は区画整理にかかり、歩いて10秒ほどの新たな場所にお店を移したのだという。
そういわれて店内を見渡せば、確かに、以前、お伺いしていたお店はカウンターだけで、誰かがトイレに立つと、みんなで、椅子を引っ込めて協力し合った記憶があったが、新しい店舗では、1つだけテーブル席もある。
つまみとして出てきたのは、アワビの辛子味噌あえ
コリコリてまいうーです。
一味唐辛子を加えると、まいうーでした。
マスター曰く、「あと、3年ちょっとで、オープンから50年。おそらく、新橋で、ずっと同じオーナーが(50年も)経営しつづけているお店は殆どないんじゃないか」という。
確かに、以前のお店の隣に合った「真澄」など他の居酒屋さんはもう店じまいしてしまったのだという。
マスターと話しこんでいて、思いだしたことがある。
それは、振り返ると、「わたしの今は、このマスターの生き方も参考事例のひとつになっているんだな」と。
それは、マスターは、お昼の仕事(メッキ加工業)とこのお店の全く異なるふたつの仕事の経営者、つまり、「2足のわらじ」なのだ。
社会人の駆け出しの頃は、「20歳で独立して、昼も夜も複数の仕事を楽しみながら働いているなんて、凄いなぁ」と思って、マスターを羨望のまなざしで見ていたものだ。
わたしは、まだまだ「楽しんでいる」の域までは達していないが、一応、複数の異なった組織を営んでいる。
わたしを、このお店に連れて来てくれた先輩方は定年退職を迎え、数年前から、元職場の人は誰も来ていないという。
当時は、このお店で、いろんな人と出会った。
わたしも、友人をこのお店に案内して、「ちなみ」を通じた人のつながりの一翼を担いたいな、と思う。
【店舗情報】
ちなみ
東京都港区新橋3-14-1
03-3431-1381