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2010年のノーベル化学賞の受賞(根岸英一・米パデュー大学特別教授と鈴木章・北海道大学名誉教授)のニュースは、出張先のホテルで耳にした。
過去の手帳を振り返ると、2002年と2008年の物理学賞と化学賞の日本人受賞の一報も出張先で耳にしており、「ノーベル賞」と聞くと「ホテルのテレビを見ている風景」が最近は頭に浮かぶようになった。

どこかのニュースで言っていたが、2000年以降の日本人のノーベル賞受賞者は、10人(南部博士除く)いて、数だけで言えば、アメリカ人に次いで多いという。
もちろん、日本の人口がアメリカを除く欧米諸国の人口よりも多い、という理由もあるとは思うが、それにしても、立派な人数だと思う。

日本の1人当たりのGDPは、気がつくと、世界で10何番まで落ちているし、オリンピックの金メダル争いでは、同じアジアの中国や韓国には遠く及ばなくなってきており、「日本って落ち目の3流国にどんどん突き進んでいるのかな」と暗くなりがちな昨今だけに、明るいニュースと言えるだろう。

ノーベル賞受賞に関して、今回受賞した根岸先生や鈴木先生、あるいは、過去に受賞した先生方へのインタビュー報道を見ていると「先生方は、含蓄のあることをおっしゃられるよな」とつくづく感じる。
鈴木先生は「研究者は、重箱の隅をつつくような研究をするな」「教科書に載るような研究をしろ」と若い研究者に常々語っているそうであるが、この話しも深い。
2008年に化学賞を受賞した益川先生は、「注目されているうちに言いたいことをい言ってください。それが社会貢献です」とおっしゃっていたが、まさに深く、重みのある話だ。

テレビなどメディアは「テレビ映えする人」を起用したがる。
2008年を例に挙げれば、小林先生、益川先生、下村先生がノーベル賞を受賞したが、メディアは、「面白いコメントが取れる益川先生」に集中した。
今回の根岸先生はアメリカ在住、鈴木先生は極めてまじめな方、なので、「テレビ映え」と言う点では「鈴木先生の鵡川町で商売されている道産子訛りの強い弟さん」に取材が集中している感じがする。
「大衆ウケする人」という視聴率が取れる人の起用が「テレビ界におけるキャスティングの常識」なのかもしれないが、「中身のある含蓄度の高い話」という観点では、やはりノーベル賞を受賞するような先生方はすごく、「気づきを得る機会も多い」ので、もっと各局は出演オファーして欲しいな、と思う。

それはともかく、根岸先生と鈴木先生について「美談」として報道されている件について、ちょっと気になっている。
それは、「カップリング技術の開発」について、おふたりとも特許を取得されていない点だ。
根岸先生は「特許を取得しなければ、我々の成果を誰でも気軽に使えるからと考え、半ば意識的にした」と話しているし、鈴木先生は、「当時は、研究者が特許を取得するという発想は低かったし、取得・維持コストを掛るので取らなかった」と答えていた。

もちろん、「特許を取得しないことで、技術は世界に広がり、どんどん応用された」といえる。
また、研究者からすれば、「お金よりも研究者としての名声や世の中の役に立っていること」が、凡人には計り知れない栄誉なのだろう。

ただ、資源の無い日本の「技術立国への道」を国家戦略としてみた場合、どう考えても、国としてもったいない。
変な話だが、自然科学系のノーベル賞受賞者は、田中先生は民間企業所属、利根川先生、下村先生、根岸先生は海外の大学教授であるが、その他の先生は、国立大学の教授などの所属である。
したがって、「特許の取得と得られる利益」は「国家財産」と言う位置付けで計画的に管理すべきものではないだろうか。
もちろん、これは、ノーベル賞受賞者に限ったことではなく、「技術立国への国家戦略的観点からみて、その他の多くの研究者の開発技術」についても同様の事が言える。

ちなみに、2007年8月時点での特許庁のデータによると、自然科学系ノーベル賞受賞者の特許件数は、
1949年物理学賞 湯川秀樹氏    0件
1965年物理学賞 朝永振一郎氏   0件
1973年物理学賞 江崎玲於奈氏   29件
1981年化学賞 福井謙一氏     191件
1987年医学・生理学賞 利根川進氏 4件
2000年化学賞 白川英樹氏     35件
2001年化学賞 野依良治氏     167件
2002年物理学賞 小柴昌俊氏    0件
2002年化学賞 田中耕一氏     17件
となっている。

やはり、工業製品や医薬製品として応用範囲が広い技術である「化学賞受賞者の特許件数」は多い傾向にある。
ただ、このデータは、日本における特許であり、欧米での取得状況はわからない。
「技術立国」が国家の成長戦略のひとつなのだから、「応用技術が見込まれる基礎研究」について、もっと国(経済産業省?国家戦略室?文部科学省?)は、積極的かつ計画的に特許技術の管理をしていくべきではないだろうかと思う。

(※ 自分を変える“気づき”ロジカル・シンキングのススメ メルマガ197号より)

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