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2010年9月18日の朝日新聞(電子版)で「非正規労働者の逸失利益は正社員より少なくするべきではないか」と、名古屋地裁の徳永幸蔵裁判官と田端理恵子裁判官=現・名古屋家裁が提案した論文(法曹時報1月号)が波紋を広げている、という記事が報道されていた。
(※徳永、田端裁判官は、交通事故にからむ民事訴訟を主に担当している)
記事によると、現在の「逸失利益の考え方」は、将来に可能性を秘めた若者についてはできる限り格差を設けないことが望ましいとされてきたのだという。
しかし、徳永裁判官と田端裁判官は、
◇非正規労働者として働き続けても収入増が期待できるとはいえない
◇雇用情勢が好転しない限り、非正規労働者の正社員化が進むともいえない
◇(1)実収入が相当低い(2)正社員として働く意思がない(3)専門技術もない――などの場合は、若い層でも逸失利益を低く見積もるべき
◇非正規社員の逸失利益は、「全年齢平均賃金」から一定の割合を差し引いて金額を算出する方法で考えるべき
と提案したのだという。
もちろん、こういった論文が発表されれば、非正規労働者側は反発する。
「派遣労働ネットワーク・関西」の代表を務める脇田滋・龍谷大教授(労働法)は、9月12日に仙台で開かれた集会で「企業の経費削減や人減らしで非正規労働者が増えた側面に目を向けていない」と指摘したという。
脇田教授の論文に対する反論を整理すると、
◇若者の多くは正社員として働きたいと思っており、必ずしも非正規労働を望んでいない
◇非正規労働者の逸失利益の安易な切り下げは、『死後』まで差別的な扱いを受けることになる
という理屈だ。
ちなみに、民事裁判における「逸失利益」の考え方は、2000年1月以前は、
◇男女別全年齢平均賃金などを基準とする「東京方式」
◇平均初任給を基準とする「大阪方式」
で未就労者の逸失利益を算定する2種類の方法があったのだという。
2000年1月以降は、
◇東京方式に沿った基準に統一
◇統一基準では、正社員、非正規労働者の差をつけずに適用
という算出方法で、例としては、25歳の男性が交通事故で死亡した場合、67歳まで働けたとして、09年の男性の全年齢平均賃金(約530万円)をもとに生活費を半分差し引いて試算すると約4600万円となるそうだ。
ただ、変な話であるが、「一般的にみれば、生活が乱れたニートっぽい非正規労働の若者」と「正社員の若者」に支払う損害賠償が原則同額基準となるのは、「負い目を感じつつも、納得感はない」ような気がする。
個人的には、月並であるが、「逸失利益には、なんらかの基準で差が付くのは妥当」と思う。
ただ、脇田教授が、徳永・田端裁判官に反論するように「非正規労働者の多くが正社員になりたくないのではない」と思うし、非正規労働者=「長期の職業キャリアを十分に展望していない」「安易に職業を選択している」との決め付け的減額算定が判例として横行する事になるのであれば、それは、問題であると思う。
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