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2010年9月1日付の読売新聞(電子版)で「介護の技量に「段位」の認定制度を検討」という報道がされていた。
この記事によると、
◇政府は介護や環境、観光など将来の成長が見込まれる分野の資格に「段位」認定制度を検討に着手する
◇「段位」により、その職業の習熟度や知識を客観的に示す
◇一企業だけでなく、多くの企業・産業に通用する専門家を育てる
◇雇用・転職の促進や高い技術を持つ人の収入増につなげる
◇まず「介護・ライフケア」「環境・エネルギー」「食・観光」を対象として検討
(2011年度末までに整備)
◇5年間で、その他の成長分野にも対象を広げる
◇内容的には「評価方法」「既存の資格・検定制度との関係」を検討
なのだという。
つまり、この「段位認定制度」の狙いは、
◆雇用の促進
◆企業が求職者を評価しやすくする
◆求職者は、就職に必要な能力を見極めやすくなる
と言うことらしい。
基本的には、上記のような、内閣府が主催する「実践キャリアアップ戦略推進チーム」の有識者会議の結果は評価したいし、「段位認定制度の狙い」が達成できることを期待したい。
ただ、現実的には、「狙いが真に機能するために必須のポイント」があると思う。
それは、
【これらの資格が必要な企業にインセンティブを与える制度】
である。
例えば、建設コンサルタント業、土木工事請負業などには、官公庁が発注企業を指名するための評価基準として関連する国家資格者(例:技術士、建築士、土木施工管理技士など)の人数などがその企業の評価ポイントとなる。
また、葬祭業であれば、以前は「無資格」で業務が行えたが、近年では「葬祭ディレクター資格者の設置」が要求されていたりする。
このように、「段位認定制度」が、
「関連する業務に必要な資格」
あるいは、
「資格者がいるとメリットが大きくなる資格」
制度としなければ、「段位認定制度=雇用促進」とはならないだろう。
また、「企業」も「その企業を利用するユーザー(顧客、消費者)」も「段位=企業やユーザーに求められている真の実力」とした資格とならなければ、「求職者の資格取得推進」や「企業の評価基準」として普及しないだろう。
とかく、日本人の場合「資格制度」=「合格が難しいだけの権威的なもの」となりがちである。
しかし、「業務上の実力=資格取得者」となっていないために「資格取得者であることが、その人を見極める目安にはなっても、効果的に活用されない」可能性がある。
例えば、弁理士や行政書士などについて、「有資格者よりも、弁理士事務所や行政書士事務所で実務を積んだ人の方が実質的に諸事例に詳しく、業務に役立つケース」は多々ある。
また、経営コンサルタントの世界でも「中小企業診断士」という資格があるが、必ずしも「コンサルティングファームへの転職」や「顧客の絶対的信頼感」と直結しているわけではない。
段位認定制度の目的が「雇用促進」であるならば、「雇用促進に繋がる関係者が積極的に活用できる制度」(例:採用時の見極め基準、資格者数に基づく企業の格付けなど)となる資格にする必要がある。
ただ、「資格制度」は、「資格制度を創設し、拡充すること」で「管理する人や団体が焼け太りする可能性」がある。
『雇用促進』を旗印にしながら、実は「資格関連団体の雇用促進」が「裏目的ではない」ことを願いたいものである。
(※ 自分を変える“気づき”ロジカル・シンキングのススメ メルマガ192号より)
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