日本人の好きな4文字熟語に「以心伝心」、「臨機応変」ということばがあります。
それぞれ肯定的に捉えると「言葉にしなくても相手に理解してもらえる」、「事態に合わせて適切に対処する」ということになりますが、少し否定的な意味で表現すれば「阿吽の呼吸で」、「要領よく適当に」となると思います。
これは日本人のDNAとして文化的、精神的に古くから脈々と受け継がれてきている価値観ではないでしょうか。

この2つの4文字熟語ですが、実は私も感覚的には好きな概念です。
「言わなくても相手にこちらの気持ちが伝わっていること」や「計画をあらかじめ立てるより、その場の状況に合わせて行動する」ことは、精神的にはすごく楽です。

ただし、この状態は精神的には楽であっても、通じ合えない人、つまり価値観の違う人を結果的に排除してしまっています。
ようするに、ものごとを考える時に価値観の奥行きがないので、自分と違う価値観の相手が出現してくると想像力が膨らまず、「言わんとしていることが理解できない」、そして最後は「意味わかんな~い」と相手を拒絶することになります。

また、「結果よければすべて良し」という言葉があるように、「あらかじめ目的に応じて計画を立てる」プロセス重視でなく、「その場その場で適当に」の結果重視で行動し続けていると問題の本質を捉える習慣が希薄になるので、反省がなく人として成長しなくなってしまいます。

私は世の中の諸問題であるいじめも、世代間ギャップも、国際問題も、宗教戦争も突き詰めれば「人間関係の悩み」ではないかと思っています。
この人間関係の悩みをさらに本質を深堀りしてみると、「多様な価値観を理解する想像力」と「筋道を立ててものごとを考え、思考し、伝える能力」の欠如が原因です。

『構造に分け入る力』、すなわち「多様な価値観を理解し想像する力」と「論理的にものごとを考える力」を一人ひとりの「武器」とすることができれば、本当の意味で精神的にも暮しやすい社会が訪れるのではないかと私は思っています。


(メールマガジン:自分を掛ける”気づき”ロジカルシンキングのススメ 第2号より)

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