リーダーシップとは「集団の目標に向けて人々に影響を及ぼすプロセス」と定
義でき、このプロセスには、
1)構造作り
2)配慮
の2つの次元があります。


「構造作り」とは、人々にそれぞれの役割を明示することであり、「配慮」と
は、人々のアイディアを尊重したり、感情をくみ上げたりして、信頼関係を作
り出すことです。


リーダーに必要な2つの要件を兼ね備えた人(まともなリーダー)が、経営者
や管理職に多くいる組織は、それなりに成功しています。


しかし、「社員が健全に育成され、組織が継続的に成長していく」という点に
なると、「自然成長」や「偶然」に頼ってリーダーを育成しようとする方法で
は、「まともなリーダー」の出現率は低く、企業のリスクは高いです。


それを回避するひとつのキーワードが、「リーダーの論理能力向上」です。仕
事は(結果として)できるが、論理能力の低い経営者や管理職のもとで仕事を
する習慣が身についてしまうと、「計画的に構造作りと配慮」を実践できる人
材が育ちません。

要は、「論理能力が低い経営者や管理職のもとでは、まともな人材は作れない」
のです。


たまたま「構造作りと配慮」ができる人材が組織に存在していればよいですが、
そうでない場合は、組織を「論理的思考回路」でディスカッションできる状態
にしておかなければ、「まともなリーダー」が継続的に出現することはなく、
組織の安定的成長は望めません。


以前社会的問題になった食品製造業や大相撲など、一連の組織不祥事を見て
いると、それらの組織は老舗ブランドや伝統に胡座(あぐら)をかき、世襲や
組織内覇権争いを繰り返すだけで、「まともなリーダー」が育つ環境がなかっ
たのではないかと思います。


┌────────────【 ポ イ ン ト 】────────────┐
「まともなリーダー」は「構造作り」と「配慮」ができる。
「まともなリーダー」が少なくなると組織は衰退する。
「まともなリーダー育成」には「論理能力の高いリーダー」が必要である。
└─────────────────────────────────┘


(※本文は2007年11月8日配信版の、まぐまぐ「あなたの市場価値を高めるビジネス発想術」に

http://career.mag2.com/hassou/backnumber.html  寄稿したものです)