好きな情報番組にNHKの「クローズアップ現代」がある。
放送時間帯が2000年から19時30分過ぎからになり、視聴する機会が極端に減ったが、リアルタイムで自宅にいる時は、ほとんど欠かさず見ている。
その大きな理由は、
・取り上げるテーマが幅広く旬な話題である
・取材で新たに判明した真相がある
・キャスターの国谷裕子さんの進行がうまく、質問も的を得ている
・そのテーマの専門家として登場するゲストの話がわかりやすい
からだ。

5月20日の放送は、19日に背任容疑で元理事長の大久保昇氏と副理事長の大久保浩氏が逮捕された財団法人日本漢字能力検定協会を取り上げていた。
しかし、ちょっと残念な番組の作りだった気がする。
ポイントは、
・なぜ大久保親子が暴走したのか?
・なぜ大久保親子の暴走は食い止められなかったのか?
・財団法人など公益法人の真のあり方とは?
・公益法人のチェック体制は機能していたのか?
・今後、「漢検」のような事例は生まれないようになるのか?
などが、番組の「主題」となるはずなのに、「取材内容」も「ゲスト解説」も焦点がぼけ、決定打を欠いてしまったのではないかとおもう。

例を挙げると、
「元副理事長の大久保氏のインタビューでファミリー企業との契約が「利益相反」の関係になるグレーな取引になることについて」
⇒法律やコンプライアンスについて欠如した役員の認識
なのか
⇒年2回開催される理事会がなぜ機能しなかったのか、またその課題は何か?
なのか
⇒主務官庁である文部科学省の生涯学習課のチェック体制
なのか
どれもこれも、「今まで新聞を普通に読んでいれば」わかるような切り口と取材内容で、全く目新しい真相はなかった。

また、ゲスト解説も「弁護士の堀田力氏」はミスキャストだったと思う。
本来は、
・(自由な立場でものが言える)公益法人のチェックをする元役人
・(自由な立場でものが言える)会計検査院の元役人
・公益法人の組織運営に詳しい学者
などがゲストになり、現在の公益法人設立・運営・監査など仕組み上の「問題点」や「再発防止策」について語るべきだったと思う。

当の堀田氏も取材VTRを見て「驚く内容ですね」と初めて知った内容も多いようで、これでは、「ゲスト解説者」というよりは「ゲストコメンテイター」である。
つまり、コメントが法律家としての「一般論」になってしまい迫力不足なのだ。
誤解の無いように、触れておきたいが、筆者は個人的にはロッキード事件の担当検事で、元最高検察庁検事の堀田氏のファンである。
しかし、今回の漢検事件の本質や制度上の問題点に鋭く切り込むのには無理があったと思う。

たぶん、日程とテレビで自由に意見を言い解説できる立場の「適任者」が「逮捕翌日の放送」で揃えられなかったのだろう。
そのため、取材を担当した記者が堀田氏のサポートについていたぐらいだ。
私も、以前、「クローズアップ現代のゲスト解説者候補としてかすった」ことがあるので、その経験でいえば、「出演交渉が急」過ぎるのだ。
クオリティの高い番組作りをするために、この番組では「ゲスト解説者」がキーマンとなる。
ゲスト解説者の選定と確保の手順には改善の余地があるのではないだろうか。

また、いつもは歯切れのよい国谷さんの質問も「堀田氏という大物」に対して「このテーマの事情を精通していない」ことから気を使ったありきたりの質問ばかりだった気がする。
意外性や堀田さんの特性を引き出すのならば、
「堀田さんは財団法人(さわやか福祉財団)の理事長さんでもあると思いますが、役員の暴走や監視、主務官庁のチェック体制を改善するとしたらどんな点が挙げられますか?」
と突っ込んで欲しかったと思う。

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