(中編からの続き)
「ニュース記事を題材に再発防止を考える」

『問題の題材3:香川県立中央病院の不妊治療に関する人工中絶問題(医療事故)』
・2008年9月18日に不妊治療を受けた20代女性の治療は川田医師が一人で担当した
・これまで約15年間にわたり、1人で体外受精の治療を担当していた
・川田医師は昭和54年4月に産婦人科医として勤務
・平成5年から体外受精に取り組み、これまでに約1000例の体外受精を担当した
・不妊治療のベテランで信頼も厚い
・病院側も特に1人での作業を問題とせず、黙認してきた
(注:2009年2月20日の産経新聞ニュースより要約)


【想定される問題の原因】
a)「作業台には、別の患者のものとの混同を防ぐため、1度の治療作業につき、1患者の検体しか置いてはならない』というルールを川田医師が守っていなかった
b)もともと、香川県立中央病院では、不妊治療の適格なチェックが不十分になる一人作業で治療を実施していた
c)体外受精のための受精卵を入れたシャーレの蓋(ふた)のみに識別マークを記入する手順になっていた
d)不妊治療のマニュアルが6ページ(事故当時)しかなく、事故を防ぐのに十分なルールが規定されていなかった
【再発防止】
a)、b)について
「1度の不妊治療作業につき、1患者の検体しか置いてならない」ルールを徹底するために、「作業台に1検体しかないこと」を別の医師等がチェックできる体制や治療場面について監視カメラをつけて治療の妥当性をチェックできるよう手順の見直しをする。
c)について
受精卵を入れたシャーレには、蓋(ふた)だけでなく、シャーレ本体にも患者さんの識別マークを入れる手順に見直しをする。
d)について
不妊治療のマニュアルについて、発生したアクシデントやインシデント、今後想定される事故について、リスクを考慮して、その影響に見合ったルールに見直しする。
【修正】
「受精卵の取り違え」については、今回のように「疑いがある」場合は、「6ヶ月後のDNA鑑定などの実施→取り違えの確認→堕胎」という「修正」までの流れが科学的には考えられるが、母体の危険性、取り違えの疑いを知らされた患者さんの精神状態を考慮する「疑いが見つかった時点での堕胎」が妥当な「修正」(処置)だったと言えるのだろう。
またその他に、患者さんへの精神的苦痛、治療に要した費用、再治療までの時間などを鑑みた相当額の損害賠償の支払いが必要になる。

以上、前編、中編、後編と3つのニュースを題材にして問題の「再発防止に必要なプロセス」を考えてみました。普段何気なく見聞きしているニュースも、「何でそうなっちゃったのかな?」、「そうならないためには何が必要だったのかな?」とちょっとだけ時間を掛けて頭の中で「問題の想定原因とその原因の除去方法」をあれこれと考えてみるだけでも、ものごとの見方が広がる。少しだけ、ものごとを深く考えるだけのことであるけれど、このような思考習慣が不祥事を再発防止し、さらには未然防止する日常の行動につながるのである。
(※ 自分を変える“気づき”ロジカル・シンキングのススメ メルマガ120号より)

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